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2012/01/26

2011 Gibson Custom Shop ES-330 VOS Limited Run

 New Commer登場です。
 2012年、新たにお迎えしてしまいましたよ、Reissue ES-330さん。


 年明け、退屈だったので、いつものようにギタ・バカ・ネット検索してたら、 見つけてしまいまして……「おいおい、こんなん出したんかい!」と。
 で、ネット上の画像では、あまりにもドンズバ度が高かく見えたので、在庫店まで現物を確認しに。そして、惚れてしまいました。

 ES-330は、Gibson "Thin Line"シリーズのES-335の弟分的なモデル。
 ES-335が、センターブロック入りの"Semi-Hollow" Bodyなのに対して、ES-330はBodyが完全に空洞な"Full-Hollow" Body。
 このEpiphone Brand Versionのが、Fab Fourの3人が揃ってご使用だったことで有名なEpiphone Casinoで、そして、こっちのがGibson本家版なわけで、ドンズバ使用で有名なのは、Jazz界の大御所、Grant Greenさん。あと、Rolling StonesのBrian Jonesとか、かな?
 オリジナルの生産開始初年が1959年で、これは、その初期Versionを復刻再現したES-330で、C.O.A.上のModel #はES-30VNNH1で、2011年製Reissue版になります。当時のオリジナル版のModel #はES-330TDN。

 1959年モデルの大まかな特徴的には、17° Headstock angle、Dot position marker、16 Fret body joint、Black plastic pickup coverでしょうか。
 後、63年からはPosition markerがDotから"Block inley"に変更されますので、3年程しか製造されなかったVersionです。

 今回のReissueに際して、なにやら、Gibsonさんの口上によりますと、現存の1959 Versionの本物を3D Scanして採寸、分解して、内部や他の部分も含めた構造を分析して再現、だそうで、なるほど、本体のディテールに関しては高い再現性。でも、60年代に入って、Body shapingには少なくとも3つくらいヴァリエーションがあると思います。恐らく型枠が1つだけではなく、大量生産なので複数在ったからでしょう。

 そもそも、初めて買ったエレクトリック・ギターが、当時日本で造られていたEpiphone Casinoでした。
 以降、Oldの本物も数本入手したりして、その素性の良さは十分知っており、私的には馴染みの深いギターではありましたが、あまりにも……な、自身も含めたギタ・バカ・マニアックな過熱気味Fab Four呪縛。よって、ES-330と同型の本物の60年代初期物のEpiphone CasinoはOld Guitar市場では高騰を続け、今や入手困難アイテムに。そして、John Lennonメモリアル的Gibson本家Custom Shopの怒濤のReissue生産も、出来があまりよろしくなく、しかも本数造り過ぎのダブダブ市場。そしてまた、Epiphone廉価版Reissueの出来の中途半端さには閉口しておりました。
 そこへ登場、の今回のこの本家1959 ES-330 Reissue、やっと来たか、のドンズバ具合です。(とは言え、突っ込み入れる箇所がまったく皆無なわけではありませんが)

 と、言うことで、今回は入手後初インプレッション的に、軽く、サラッと突っ込み交えての解説&オーナーズ・レポ&インプレッションです。


ES-330の場合、音のキモはなんと言っても、P-90です。このPickupとのマッチング相性がこのギターの決め手なわけで。
 で、Gibsonさんもそこんところはよくご承知で、今回、Oldの平均的出力に近づけて、「約300ターン」コイルの巻き数をリダクションした特別版P-90を搭載だそうです。Pole-PieceはAged加工されています(あんまりイイ感じじゃないです)。
 しかし、うん、実際の音の方はイイ感じの出音でした。
 DC直流抵抗値は、また今後実測してみたいと思ってます。

 Pickup Coverは、いわゆる"Dog Ear"形状のBlack Plastic製で、リアには、一回り大きめサイズの、かさ上げ用下駄スペーサー付きなのがマニアック。これは、当時のオリジナルでも全ての個体に付いていたわけではなかった筈で、このスペーサー付きの個体はむしろ少なかったと思いますが、実質的にも嬉しい再現です。実際、このスペーサーがないと、結構、弦とのディスタンスがありますから(デフォルト・セッティングの場合)。

 Pickguardも5-Plyで、全エッジ斜め面取りのほぼオリジナルどうりの再現です。これらPickup coverとPickguardは軽くAged加工してあるのですが、Pickguardの方はちとやり過ぎかなー、な感じで、ささくれ立った古い木製テーブル・トップの上で滑らせて、テキトーにシャカシャカやって仕上げました的な荒技なAged加工具合でした。これを見て、「お、イイ雰囲気じゃん」てな感想を持たれる方は、あまりOld Guitarの現物を数多くは見てきておられない方でして、もし、このレベルのAged Pickguardが付いてる本物の本体があったとしたら、それはもう、"Player's Piece"は疎か、かなりのPoorコンディションの個体と言えるでしょう。つまり、Aged加工具合は本体のコンディションとはミスマッチで、あまりにもアンバランスなのです。早速、丁度いいAgedな感じに磨き戻しました。また、Pickguardを外してしまうひともいるかとは思いますが、付いたままですと、Pickup Coverに接触する部分がBodyの共振によりBuzz音を発生させます。フェルトかスポンジを接触面に挟むかの対策をしないと不快で弾いてられません。

Dot Position Markerは厚みの薄いバインディングに、Blackじゃない、お約束の亀さんSide Position Markerで、これも正調です。Custom Shopモデルでも一部のHistoric Les Paulでしか再現されていなかった、当時のオリジナルと同じこの"Thin Binding"。これ、私的には大きなポイントなんですよね。この僅かな違いで、見た目はかなり違いますから。ただし、エッジの加工は粗いです。

 Fretwireは、50年代Gibsonの細めのもので、60年代中期以降のものや、現在のモダン・タイプの"Jumbo Fret"に慣れたひとには、かなり細く感じるのではないでしょうか。立ッ端も高いです。エッジ処理は、立たせ気味のカットで、ここはOld Gibsonっぽくなく、また、あまり丁寧な職人仕事ではないです。

 そして、流石、今どきのGibsonの職人さん。Fretboardは見た目でもわかる、艶感ゼロの大雑把な粗いサーフェイス仕上げのサンディングでフィニッシュされていて、手触りザラザラ、Fretのエッジと表面も磨き残し放題、指チクチクの状態でした。なので、画像のとうり、Steel WoolとOrange Oilのコンディショナーで磨き上げて、オーナー自ら、本来の工場出荷状態の質感に仕上げしました(すいません、デフォルト状態の画像を取り忘れました)。ちなみに、わたしの個体では、Fretboardの色目はEbonyに近いRosewoodにしては濃い色合いでしたが、実は、これは強烈な染色処理が施された為の人工的Rosewood色です(Jacalandaに似せてるのかな)。何せ、磨いてたら、紫色の染料が染み出てくるわ、出てくるわ……なので、本来の使用Rosewood材の自然色は、もっと薄い茶色の筈です。

ABR-1 Bridgeも、50年代再現ですので、定石どうりのNickelで、Retainerなし&面取りなしスクリューのタイプを搭載。Aged加工は、控えめなくすませ程度です。
 これは、恐らく、Custom ShopのHistoric Les Paul用のものをそのまま流用でしょう。
  StudとThumb Wheelも同じく、たぶん、これもHistoric Les Paulからの流用品で、ES-330の場合、センター・ブロックがないことから、スタッドの傾きと沈み込み防止のために1枚づつ余分に付いてるのがオリジナル踏襲で、ココもきっちり押さえてました。








"Diamond Tailpiece"も、ちゃんとNickel。
  当然、オリジナルのKlusonのはもうありませんから、Replicaのですね。Long Typeのです。こちらのAged加工も控えめで、ディテールと質感共、イイ線いってて好感持てます。

 Control Knobsは、一見、レギュラー・モデル用のパーツかと思ってたのですが、プリント文字ではなく、彫り文字のHistoric Les Paul用のものでした(訂正)。しかし、断面のくびれ具合の再現性は低いですね。うーん、これはかなりイマイチっす。Les Paulマニアな方々の不満さが今回よくわかりました。
 PointerもAgedのHistoric用のものでした。

 Switch-Tipはアンバー色のもので、これもHistoric Les Paulからの流用品のよう。
 Switchは勿論、Switchcraft製の筈。

 Electronics系ですが、これも、Gibsonさんからの説明によりますと、ControllerのPotはCTS製をわざわざ使用(てことは、これまでのCustom Shop現行品モデルでは、CTS製のPotは使ってなかったんですね)。Knobを外して確認したところ、Brass ShaftのCTS Potでしたが、ローテイト・アクションは決して軽くはなく、硬めです。だいたい、最近のCTSは内部にワセリンみたいなグリースが入っていて、それがよろしくないのです。

 それにプラスして、Sprague "Bumble-Bee" ReplicaのCapを使用、だそうです(オリジナルどうりだと、値は0.022μF 400Vの筈)。f-Holeから覗いてみましたけど、確認できませーん。

そうそう、忘れてました、Headstock。

  Gibson LogoのInleyの感じは、散々Les Paulヲタクから指摘されまくって、Gibsonさんも鍛えられたのでしょう。イイ感じの再現性だと思います。

 Headstock全体のシェイプも大変よろしいですし、String Postの位置関係も完璧だと思います。しかし、やはり面取り加工の具合は、未だに再現性イマイチでエッジが鋭角過ぎ、エッジの黒塗りも甘く、つき板のHolly woodベニヤの断面が白く見え見え。これはエッジが摩耗してこないと、本来、新品時はこうはなっとらんぞ。ただし、Headstockサイド表面の"No buffing" - 磨き残しがやっと再現されてて、そこに関しては頬が緩みました。

 Truss Rod Coverも時代的に2-Plyのもので、これも、Historic Les Paul用パーツの流用ですね。これは再現性高いパーツです。

 Nutは、オリジナルに忠実にDelrin製でした。と、思いきや、ナイロン樹脂製でした(*訂正)。しかし、これまた、トップがヤスリで削った痕残りまくりの、どう見たって「仕上げ忘れてました」的超粗仕上げ状態のままでして、これも磨いて、本来の仕上がり状態にしました。オーナーがいじれる箇所を沢山残してくれるのは、嬉しい限りです。

 今回、一つだけ大いに不満で、ダメ出しなポイントは、Tuner Peg。これ、TonePros製Kluson Replicaで、Aged加工済みの「なんちゃってKluson」版なのですが、まー、ブッシングも含めて、これの見た目のダメさ加減は言うのもめんどくさいレベルなので、今回は深くは言及しません。が、その見た目のダルさはさて置いておいても、ともかく、巻き上げ感ゆるゆるトルクで、チューニングの微妙なところがまったく気持善く決まらず、ぜんぜん性能悪い粗悪Tunerです。どうも、わたしはナイロン・ブッシュの入ったTunerの緩いトルク感が好きになれません。
 Gibson Custom Shopでは、現行のハイ・クラスHistoric Les Paulにも同じものを搭載しているようですが、同じReplicaのなら、なんで、ルックスの再現性も、性能もToneProsのより上級なGotoh製にしないのでしょうかね?
 これではFine Tuningはどう足掻いてもムリなので、速攻、交換の段取りを決定し、本物Old Klusonを手配して発注済みです。


 オリジナル・ハードケースは、Gibsonお決まりのTKL/Boblen製のようで、Blackレザー、表にGibson Custom Shopの金ロゴ打ち。インナーはShroud付きのものです。
 最新のインテリアは、Dark Greyカラーに変わりましたね。この色目は、ある意味、Special感が薄れ、社外品の汎用品的な感じがしないでもなく、微妙なところかなー。細かいところでは、ポケットのプル・ハンドル・レザーの型押しロゴがTKLからGibsonになりました。
 そして、このShuroud生地、確かに見た目はゴージャス感ありますけども、これ、必要でしょうかね? これがあるお陰で、本体の出し入れ時は結構面倒なんですけども。
 そういうことよりもですね、Gibsonさん、同じ手を掛けるのなら、インテリアのプラッシュ生地を、50年代のPinkのか、60年代のYellowのか、オリジナルのLiftonのみたいに再現してくれるとか、そういうOld Gibsonマニアが喜んで頷くことをやって欲しいです。
 ただ、私的には、ハンドルがBoblenタイプの、レザーな"Banana-Handle"タイプのハンドルでなくて良かったです。(アレは傷んだら交換部品が無いし、最悪です)
 それと、ケースのボディ部はタイトでキツキツで、収めるときは、本体をケースに無理に押し込む、て感じでないと収まりません。 (Custom Shop '67 Flying Vのケースも同様のキツキツさ加減でした)
 このケースは、本来はES-335用のもので、恐らく、オリジナル当時のものも含めて、335用ケースの流用でして、Headstockの先に無駄な空間のマージンがあるのがその証拠です。ポケットがある関係で、330の場合、ネック・サポートのトップ側位置がネック強度的には結構ヤバイ位置に当るのが若干気になります。
 たぶん、オリジナル「ES-330専用ケース」というものはこの世に存在しない筈です。 

オーナー的プチまとめインプレッション:

 今回のES-330 Reissueモデルは、このBlondeヴァージョンと、Cherry Red(Bigsby付き)、Sunburstの3種。
 別にJohn Lennon追っかけということではなく(同じBlondeでも、あちらのはSatin Finishですが)、そもそもBlonde Finishのがオリジナルの個体は少なく(1959-60年の間だけ生産された)、300本あるかないか、というレアさだし、「もし、オリジンの330だったら、Blondeでしょ!」てことで、このNaturalを選択しました。
 でも、他2色のFinishの再現性も大変素晴らしく、Oldと比較しても見劣りしない、近年のCustom Shopモデルの仕上がりとしては上々の出来映えだと思います。特にSunburstのは、1本、1本、フィニッシュの仕上がり具合に態とバラつきを持たせているようで、自分好みの1本を選べるようにマニア心をくすぐりつつ、各販売代理店にも売り易い配慮をしているところは、小ずるいGibsonさんのCustom Shop販売戦略です。しかも、Sunbrstだけ価格設定が低めで、あの出来なら、3種中ではかなりお買い得感があります。
 ボディの外周形状は、恐らく、1959年当時から成型型枠が数種同時に存在し、それによって、オリジナルでもいくつかのヴァリエーションがありますが、いい感じの個体をScanしたな、と思います。ちなみに、f-Holeの位置も1959年製の位置と合っています。私的には、3D Scanしたとあって、ボディの独特のトップ&バックのアーチのカタチの再現性/仕上がりが気に入りました(これも当時の個体はバラつきがありますが)。この辺りは、これまでのEpiphone版Casinoが散々たる再現性だったので、やっと期待どうり、という感想です。しかし、そういう再現性も「ロットが進むとダル化する」のは定説で、「Reissueゲットするなら、初期ロットを確保すべし」のマニア定石どうり、速攻で初期ロット入荷分の1本を入手してしまいました。

 Finishは、VOS(Vintage Original Spec.)仕上げということで、本体はVintage Likeな風合いの若干艶の落ちた仕上げだったのですが、ポリッシュで本体を極ふつうに磨くと、何やら茶色の汚しFinish層の膜が落ちるわ、落ちるわ……。そうかー、恐らく、バフィング研磨の後に、わざわざ汚し用の"Coffee Wax"か何か(あくまで想像なので、勝手に命名)をスプレーしてあるんですねー。うーん……このひと手間、必要か?
 磨いてて思ったのですが、このモデルはMemphis Factoryでの製造らしいのですが、ラッカーがいつものGibson Custom Shopのより、なんとなく硬質な気がしました。Factoryによって使用の塗料の質が違うのかも知れませんね(これも、あくまで個人的考察です)。何れにせよ、ボディのラッカーは薄塗りではないですね。

 それと、付属品がC.O.A.と保証書だけで、いわゆる"Case Candy"の類が一切同梱されていませんでした。販売店のひとに確認したところ、「はっきりは記憶していませんが、1年くらい前から同梱されなくなっております」とのことでした。そうなのかー、なんか、以前には着いてたオマケ類が無くなると、ちとガッカリです、Gibson Japanさん。

 その他、Headstock裏にSerial #は打たれず、Body内部にInk Stampされる、"Factory Order Numbers"形式をオリジナルどうりに再現するなど、Historicalな拘りには徹底しており、総合的に、しかも辛口に評価して、かなりイケてる330だと思います。

 ということで、ザッとファースト・インプレッションでした。
 購入を検討されている方にも、何かのプラスになれば幸いです。
 まだ、お迎えしたて、なので、また今後続編をUpしたいと思います。

2 件のコメント:

  1. 5001stellaです、

    ES-330松下工房にて再ポッティング完了、
    普通に使える様になりました!

    http://www.youtube.com/watch?v=jEbSjjGJ_E4
    ちなみにこの前のバンドコンテストです。

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  2. 5001stellaさん

    コメントありがとうございます(てか、ココの初コメです!)。
    おー!再ポッティングしましたか!
    使えるようになってよかったです。

    映像、観させてもらいました。
    Liveでの再現がえらい難しい曲に敢てトライされたんですね! 驚きました。
    アレンジが自然でとても良かったです!
    All Rose Tele、カッケー!

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