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2012/01/02

It is not "Matsuko Deluxe"

 たまたま、Replicaのじゃなくて、本物オリジナルのDouble LineのN.O.S. Kluson Deluxeが安くゲット出来たので、付け替えちゃいました。

Beautiful Strat headstock

 これは、Tuner、Machine Head、Pegと、いろいろ呼称がありますが、日本的にはPegが一般的ですかね?
 Old Fender StratオリジナルのデフォルトTunerは、メタル・ノプ&スプリット・シャフトの"Kluson Deluxe"で、これは年代によって、幾つかのヴァージョンがあります。
 
Recently Fender factory genuine fitted tuner was Replica "No-Line" KLUSON DELUXE - Made by Gotoh Japan.

 現在、Fender Custom Shopの本体に着いてくるのは、Replica品で、コピー大国、我が日本が誇るGotoh社製のブツであります。これは、オリジナルの初期ヴァージョンの"No-Line" Kluson Deluxeの完コピ、精度&操作感Up版で、本体のSpec.的には、1960年以降のモデル用としては、ちとヴァージョンが異なります。
 '60 Strat用ドンズバとしては、本来、裏蓋ケース上一列に、ブランド・ネームの"KLUSON DELUXE"の文字が刻印されたものが正解で、これを"Single-Line"と呼びます。
 が、Fender Custom Shopでは、大雑把にどの年代のRe-issueモデルにも、この文字列の入っていない初期ヴァージョン"No-Line" Gotoh Replica Kluson Deluxeを使い回しです。

 本家Kluson社は、既に1980年代初頭に廃業してまして、以降、同社の製品は途絶えたのですが、近年、USのWD社が会社名を買い取り、 Replicaを製造販売、また、以降、ブランド名を貸したりしているようで、他社製造のものもあったり、実態はかなりややこしいです。
 でもって、これら近年製造のReplica Kluson Deluxeは、その出来具合がかなーりイマイチで、本物の本物Klusonとは似ても似つかぬ商品なのであります。以前、WD社のを購入したことがあるのですが、"KLUSON DELUXE"の文字が入っている、というだけのことで、他の部位のルックスは遠目に見てのみ誤摩化せる代物で、また、製品のクオリティとしても操作感ダルダルで、どうしようもない物でした。ハッキリ言って、この程度のReplica品で満足してるレベルではギタ・バカ検定落第てもんです。

 Fenderにしても、恐らくはそこのところをよくよくご承知で、文字刻印は商標の関係で入れられないものの、外観が最も本物に肉薄していて、精度もトップ・ランクの日本製を採用しているわけですね、たぶん。
 この本家お墨付きFender純正採用Gotoh製Kluson Replicaは、流石に我が日本国製で、本当によく出来ています。が、精度と操作感を現代的に向上せんが為に、チューナー・シャフトにナイロン・ブッシュを採用しているので、どうも、私的には操作感がイマイチな気がします。

 本物Kluson Deluxeは精度的にはバラつきが多いし、耐久性も決して高いものではありませんが、やはり、あのファジーだけどダイレクト&ソリッドな操作感は、本物のKluson独特なのです。

Original "Double-Line" KLUSON DELUXE for Strat & Tele, Jazmaster...
で、今回ゲット出来たブツは、本来なら、1963年とか、1964年以降の本体に純正で着いていた筈の、二列文字ブランド・ネーム刻印の、"Double-Line"ヴァージョン。残念ながら、ちょっとだけドンズバとは違うチョイズバです。

 同じN.O.S.品の'60ドンズバ"Single-Line" Kluson Deluxeだと、現在、安いギター1本買えてしまうくらいの市場価値だったりするので、今回はお預けです。
 でもでも、本物Double-Lineのデッド・ストックな新品を着けちゃうんですから、贅沢と言えば贅沢でしょ?













Original Kluson identity - "D-16400", "PATENT NO." Stamped
  本物Kluson Deluxeには、ヘッド裏側に着く面のプレートに"D-16400" "PATENT NO."の文字列刻印があります。(年代により文字の内容は変わります)
 Replicaにはこの刻印はありません。
Cutting mark - @Tuner shaft end
もう一つ、本物を見分ける目安を……
あまり云々されることはないみたいですが、このチューナーのシャフトの底面にデベソみたいな突起があるのが本物の特徴です。
 まつこデラックスがデベソかどうかは、知りたくもありません。
 Replica品の場合、ここのケースとシャフトの隙間から内部のナイロン・ブッシュが確認できます。

 
That's O.K., Changing completely - Back to authentic spec. However, tuners are post 1963 version's...
はい、交換しませり。

 N.O.S.のド新品なので、今はRelic感ゼロのピカピカが本体と違和感ありますが、心配ないです。Klusonのメッキは、何もせずとも空気に曝す と、すぐにメッきが曇り始めるからです。一年も掛からずに独特なくすみ感になり、Oldな風合い&Vintageな風格が出てきます。それも本物の証しなんです よ。自然に任せて、もうちょっと待ちましょう。

Details in "Split Shaft"
Fender用Kluson Deluxeは、弦を巻き付けるシャフト部が、いわゆる"Split Post"なのですが、この先端の割れ具合にもヴァージョンごとに特徴があります。

 この"Double-Line"の時期のものは、スプリット切削幅が狭めで、センター・ドリル・ホールのトップが僅かにベベル・カットされているのが特徴です。
 このタイプ以前の、"No-Line"、また、"Single-Line"の時期のものには、スプリット幅が広く、このセンターのベベル・カットがありませんので、ギターの表側からも見分けがつけやすいです。
 Gotoh Replicaには、この部分を再現したものはありませんから、Post-CBS Fender期の"F-key"装着前までの、'63以降のRe-Issueモデルの本体には、本物Double-Lineは交換必須アイテムですねー。

 スプリットの切削部の長さ(深さ)は、年代によって若干バラつきがあるようで、初期型は比較的浅いですが、それ以降は、だいたいテーパー加工されたポスト中間部の径の、肉厚が最も少ない部分にまで及ぶのが大半だと思います。

 ちなみに、"Gotoh Replica"は、初期の"No Line"ヴァージョンを模しているわけですが、スプリット切削の長さが極端に短いです。これはあくまで想像ですが、恐らく、ポストの先折れ事故を回避する為に「敢て執った」対策だと思われます。何故なら、このスプリット加工によって、ポスト部は肉厚が薄くなってしまっており、強度が少ないために、扱い次第では折れ易く、スプ リットの片側だけの無惨な姿になってしまった個体がオリジナルでは多いのです。
 しかしながら、ルックスだけでなく、これによる実用的な差異としては、本物の場合、スプリットが長い(深い)分、弦の巻き上げ周回数を少なめにしても角度を深くつけられるので、テンションを高めに保ったまま巻き上げることが可能というメリットがあるのですが、Gotoh Replicaの場合、巻き上げ周回数が少ないと、必然的にテンションは弱くなってしまいます。微妙な差異ですが、このテンション感に拘るプレイヤーは結構多いです。

 ポスト先端の外周にも面取りのベベル・カットが施されていますが、この面取りの量は時期的に必ずしも一定ではなく、製造時期、ロットの違いなどに起因する加工精度の誤差の問題なので、特に製造時期のヴァージョンによる特徴の差異ではないように思います。
 細部のヴァージョン違いは、ギヤ・ケースの文字の刻まれ方にもあり、"Double Line"期の物でも少なくとも二種の刻印ヴァージョンがあります。
Gibson used "Through-Hole" type post and different style Ferrule
  補足として、"Double-Line"期のGibsonヴァージョンをご紹介です。

 1965年製SGに付いているオリジナル・パーツですので、リアルにAgedなDouble-Line Kluson Deluxe。
 Gibsonヴァージョンは、一貫してスプリットではない、通常の水平貫通穴ポストのヴァージョンが使用されています。

 そして、この時期の特徴的な形状のGibson用Ferrule(Bushing)。
 この表面部分の切削カット形状が、Fenderタイプのとはまったく異なるのがわかると思います。
 ザックリ簡単に違いを言うと、Fenderタイプのは、台座の一段目の厚みが幅広で薄く、二段目が盛り上がって厚みがあり、Gibsonタイプのは、逆 に一段目の台座がぶ厚く、二段目が薄すく幅広、となります。何れも、時期により微妙に形状が違うヴァージョンがありますが。
 Ferruleは、表面の形状の違いを除けば、同じKluson Deluxe用なので、同一規格で互換はあり、Gibson & Fender共通に使い回しは可能です。ただ、小さなパーツなのに、案外、Headstockを見たときのルックス的な違いは大きいので、Oldギター・ヲタク的には「それをやっ ちゃぁ〜おしまいよぉ〜」て感じですかね。(笑)
"Double-Line" stamped gear case - Individual type tuner for Gibson

 これにもちゃんとデベソ、ありますよね。

 メッキのヘタリ具合が、やっぱ、リアルAgedです。


























"Single-Line" stamped gear case - "3 on a plate" type tuners
"Single-Line"の検体としては、現在、手持ちではこれしかないので、画像採用ですが、これは、"3 on a Plate"という、片側三個づつ、チューナーが一つの台座プレートに取り付けられている、一体型"3 x 3"タイプのものです。
 Gibsonでは、J-seriesのアコースティックや、エレクトリックだと、Jr.タイプのギターで採用されているものですので、 このタイプもポピュラーですね。これらにも同じく、製造時期によりヴァージョン違いがあります。

  "Single-Line"では、文字が"KLUS●N DELUXE"になっていて、グリース注入穴を"O"の字に見立ててあるので、"KLU"まではケースのサイド部分になってしまってます。
 はい、これにもデベソが……「もう、いい!」って?
 ちなみに、これは、シャフト切削加工時についた、カッター刃がシャフト外周から中心に到達した痕跡なのです。
 デベソ残らないように美しくカットされたシャフトの個体も在るには在りますので、これはあくまでひとつの特徴的「傾向」ということで。

Post 1963 version tuners on 1960's type headstock...
さてさて、Oldギターには切っても切れない拘りパーツなので長く語ってしまいましたが、本物Kluson Deluxeに交換すると、実は、ルックスだけでなく、音も若干変化します。タッチがソリッドで、トーンが何故かクリスピー&シャープになります。今回、またしてもそれを実感しました。
 
 何がその根本要因かはハッキリとは特定はできませんが、想像しますに、Klusonの場合、メカニズムの構成部品はスチールとブラスだけで、現在製造されているReplica品のように、ナイロン・ブッシュを使用していないからではないかと思います。
 工業品素材としては、ナイロンは何も新しいものではありません。滑らかな操作感を得る為になら、当時も設計的には採用することは出来た筈ですすし、コスト的にも、製造上もさして問題はなかっただろうと思われます。なので、これはあくまで音質優先で、Klusonでは当時から意図的にナイロン・ブッシュを使 わないようにしたのではないかと考察するのです。
 このナイロン・ブッシュは、弦からの振動系には直接は無関係との見解もありますが、構造的には、弦→ポスト→ギヤ→チューニング・シャフト、と噛合して、 土台のベース・プレート諸共一体となっているわけですから、音質と完全に無関係ではないのではないか? というのが私的見解ですが、全くもって確証はありません。スチールとブラスの材質による特質も関係あるのかも知れません。

 今回、Ferrule(Bushingとも言われる)はデフォルトのままです。というのも、これは今回、同時ゲット叶わなかったからです。
 しかし、このReplica版のFerruleの出来はそう悪くはありませんので、しばらくこのままで……Relic感が若干ちぐはぐではありますが。
 当時物KlusonオリジナルのFerruleも入手の手配済みなので、それが届き次第換装です。

 とにかく、ルックスも、音質においても、本物Klusonに勝るものはないと思います。
 スムースな操作感を得たいだけで、Replica品に付け替えることは、サウンド的にはむしろ、ダウン・グレードだと思います。

 Sorry, I hated Matsuko Deluxe.

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