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2012/12/20

Hi!

 しばらく休眠しておりました。

 というのも、Guitarをそんなにしょっちゅう購入する予算はありませんし、手持ちのGuitarに手を加え続けてれば、最早原形をとどめない程のとんでもない改造品になっちまいます。

 ということで、今後はその他の音楽関連Gearや、Vinyl Record Collectionなどのネタを中心に続行の所存です。

 あ、でも、まだここでは未紹介のGuitarもありました。

2012/06/07

Difference In Fender "F" Tuner


 所有Guitar中、最も無敵な我がFender Custom Shop Rosewood Telecasterですが、更なる無敵化を施しました。
 それは、Tuner(Machine Head)です。

Fender Custom Shop Original Fitted F Tuner
Custom Shopのデフォルトで装着されていたのは、ドイツScharler製のFender "F Tuner"で、日本では「F-Key」と呼ばれているものです。
 本来、Rosewood Telecasterオリジナルの時期(68-70年頃)には、まだScharler製のものは製造されていなかったので、時代考証的には明らかにミスマッチなのですが、現在、Fender製のオリジナルF Tunerは製造されていませんから、このCustom SHopの再現性は致し方ないところではあります。

 ざっと説明しますと、1967年頃から、Fender社では、それまで使用していたKluson製Tunerに替えて、自社オリジナルのTunerを開発して、すべてのモデルに換装することになります。このF TunerはFenderの頭文字の"F"を型押ししたギヤ・カバーが外観の特徴で、また、TunerのButton(Knob)の形状が8角形なので、見た目でそれとわかります。以降、FenderのGuitarのTunerは1970年代の後半まで、このタイプが使用されました。
 しかし、外観上は同じなのですが、大別して、初期(Fenderオリジナル製)、後期(ドイツScharler製)で細部に違いがあります。

 今回、大変貴重な最初期のF TunerのSetを入手して交換しましたので、違いを紹介したいと思います。

 先ず、現行のCustom Shopで使用されている後期、Scharler製ですが、右の画像のように、それまでのKlusonよりもBushingの外径が若干大きいのがわかるかと思います。これは、下穴サイズに違いがあり、KlusonのBushingよりも大きな径の下穴を必要とするものです。しかし、TunerのPostの径は逆に僅かに細いので、このBushingはKlusonのTunerとの互換が全くありません。また、メッキの仕上げがChromeです。

 Headstock正面側から見た場合、Tuner全てがChromeで統一されているところが、Scharler製F Tunerのポイントなのですが、この仕様は1976年以降のルックスであり、[オリジナルのRosewood Telecasterでは、本来は有り得ない状態]ということになります。

Tuner Changed To Early Type Original F Tuner
そして、こちらの画像が、最初期のFender Original F Tunerに交換後の画像。

 ちょっと撮影の角度が違ってしまったので、比較感が微妙かも知れませんが、雰囲気の違いは感じ取っていただけるかと思います。

 この最初期VersionのF TunerのBushingは、Kluson期の物と全く同一で、Nickelメッキ仕上げ。そして、TunerのPost径もKlusonと同一規格なのです。ですので、正面から見た場合のTuner Post回りの雰囲気はKluson期のHeadstockと比較してもあまり違和感がありません。後期Scharler製の、あのChromeメッキのキラキラした派手さ感が抑えられたオーセンティックで控えめなルックスです。ただし、Postの長さはKlusonよりも長いです。これは、当時(1960年代後期)に新たに変更されたHeadstockの厚みに合わせたものです。
 しかし、Tuner Buttonと、そのShaftはChrome仕上げであるところが、初期F Tunerを正面側から見た場合の特徴ですね。そして、これが、正調オリジナルRosewood Telecasterの製造時期の仕様となります。うん、かなりリアルに本物っぽくなりました。

 ちなみに、このKlusonタイプのBushingの交換は、Scharler用に空けられた下穴のままですと、穴が大き過ぎて、そのままではゴソゴソでBushingが留りません。Conversion Bushingがアフターマーケット・パーツとして手に入るので、それを使うのも手ですが、わたしはオリジナルのBushingが持つディテールと風合いに拘って、セロテープを何周かBushingの外周に巻き付けて下穴径サイズに合わせて調節して対処しました。リーズナブルです。

 Headstock正面から見た違いはざっとこんな感じなのですが、このF Tuner、そのVersionによって細部に至るまで違いがあります。

では、Tuner単体で比較してみましょう。

Left: Early Type Original
Right: Late Type Scarler Made
左:最初期Version、右:後期Scharler Versionです。

 先ず、画像の上方から見て、Buttonですが、まったく同じ8角形かと思いきや、実は大きさと厚みがまったく違うんです。実際に指で摘んでみると、更にハッキリわかる違いで、最初期Versionのは、サイズ的にKlusonのButtonに近く、持ち替えても感触的にあまり違和感がないのですが、Scharlerのは、即座に「デカッ!」と感じてしまいます。実際、一回りデカイのです。また、形状もShapeが鋭角でカクカクしており、タッチ感もゴツゴツした感じです。
 そして、Shaftの径もまったく違うことが画像でわかるかと思います。Scharlerのはかなり太いです。見た目の印象として、最初期Versionは華奢に見えます。FinishはどちらもChromeです。

 次に、GearのCasing内部ですが、設計自体が一新されているのがわかりますよね。最初期Versionはグリースを詰めたInner Cover(Nickel On Steel)が嵌め込まれているだけなのに対して、Scharler製では、Casting成型によるHousingになっており、また、Postのガタつき防止の為に根元に大径下穴サイズに合わせたフランジが張り出しています。Housingには"Made In W. Germany"と刻まれています。

 String Postは、最初期VersionがNickel On Brass、Scharler VersionがChrome On Brass。直径の僅かな違いは先に述べましたが、長さもまた微妙に違います。
 また、最初期VersionのPostの先端中央にはString Guide Holeをドリリングする為のRound Cutがあり、"Double Line"期のKlusonのPostの形状にやや似ていますが、Scherller Versionにはそれがありません。切り込み幅がScharlerは細いので、Heavy GaugeのLow-E Stingだと弦をPostに通すのが厳しいと思われます。
Bushingの大きさと形状の違いもご覧のとおり。Tunerの取り付けScrewにまで違いがあります。最初期Version: Nickel、Scharler Version: Uni Chrome。

 裏側から見た形状は大差なく同じ、と思いきや、こうして比較すると大分違いがあることがわかります(画像の並びは同じです)。
Left: Early Type Original
Right: Late Type Scarler Made
最初期VersinのOuter Caseの形状は、曲面が緩やかなカーブの曲げプレスですが、Scharler Versionのはかなり鋭角な角張った形状です。同じChromeメッキ仕上げですが、それぞれでプレスの金型が全く別物であることがわかります。こうして並べて比較するとよくわかるのですが、個別に見た場合、案外、即座には違いが見分けられないものです。
 しかし、こちら側から見たときの前期/後期型の判別法としては、この画像でわかるように、[ButtonのShaftがCaseから突き抜けているかどうか]を見れば即座に判別が出来ます。
 また、上の画像では細かな比較はできませんが、実は特徴的なプレート部のZig Zag斜めCut形状の角度も微妙に違うので、新旧を混在取り付けしようとすると、配置がズレます。

 と、大きく、前期/後期のVersion違い比較をしてみましたが、前期でも2種類ありまして、紹介したものの後、71年頃から採用された2nd. Versionは、ButtonのShaftがChromeではなく、Nickelで、内部のGearがBrassではありません。
 後期Scharler Versionにも少なくと2種あり、それは、String PostのLong/Shortの長さの違いです。今回紹介したものはShort Versionになります。

 よく、雑誌やBlogなどで専門家諸氏が「Scharler Versionの方が信頼性が高い」と発言されており、それを盲信している方が多いように思われますが、わたしはまったくそうは思いません。確かに、Scharler製のは、設計と造り自体は良いので、機械的なガタつき/ラフさは少ないのですが、実際の操作感は、ダイレクト感に欠け、滑りがあり、リニア感がなく、あまりよろしくありません。
 一方、逆に、他ではあまり評判の良くないOriginal F Tunerですが、実はそれは誤った認識によるものなのです。先ほど紹介したように、このOriginalの前期Versionには2 Versionあり、最初期VersionのGearはBrass製で、かなり操作感がスムースで大変良く、遊びも狂いも少ない良いTunerなのです。
 ところが、2nd. Versionでは、何故かGearがBrassではなくなり、明らかに粗い造りのものになってしまうのです。恐らくは、この2nd. Versionでの評価が一人歩きしてしまったのではないでしょうか? と言うのも、この前期型のVersion違いがあることすら、あまり知られていないからです。

 初期型2nd. VersionのButton形状は、Scharler Versionとほぼ同じで、つまり、小さめのButton形状は、Originalの最初期型にのみに見られる特徴です。

 Fender F Tuner Variationsまとめ:
Type 1: 1967 - 1971 Original Early 1st. Version. (Small string post, Chrome Shaft + Brass Gear, Small button) With Kluson type bushings.
Type 2: 1971 - 1976 Original Early 2nd. Version. (Small string post, Nickel Shaft, Large button) With Kluson type bushings.
Type 3 & 4: 1976 - : Scharler Made. (Large string post and long or Short String Post, Large button) With original "Large" bushings.

 このF Tunerは、Klusonと違って、簡単に全てのパーツを分解することが出来ますので、きっちり正しく調整してやれば、精度を保つことが可能です。

2012/05/16

Subsequent About My ES-330

 「あのGibson Custom ShopのES-330はその後どうなってるの?」
 と、お思いの方はおられるでしょうか?

 実はいろいろあったのですけどね、記事のUpが後回しになっておりました。

 やはり、わたしがカスタマイズせずにいられるわけがありません。
 先ずは私的慣例行事のCapacitor交換を実施しております。

 オリジナルでは、「ReplicaのSprague "Bumble-Bee" Capが搭載されている」という話しだったのですが、これは、Hollow Bodyの構造故に、外側からは"f-Hole"を覗いても見えず、確認出来ません。なので、電装パーツを根こそぎ全バラしてBody内部から引きずり出してみないと確かめられないのですよね。

 ということで、その画像。

Before - Factory defolt

 これは、Bodyの取り付け位置をCopyした台紙に装着した状態で、Body内部側から見た状態、と思って見てください。

 はい、Capacitorは確かにReplicaのBumble-Bee .022μF 400vでした。
 Gibsonが製造してるわけではないでしょうから、これは、恐らく、Luxe製の物ではないかと想像します。
 それっぽく見せてるつもりなのはわかるけど、Oldとは雰囲気からしてぜんぜん似てないYellowの絶縁皮膜Tubeが泣かせますね。

Gibson Custom Shop CTS Pot
Potは、ケースにGibson Logo刻印の入ったCTS製Brass Shaftの500K ohms。(左画像)
 これは、CTSの高級タイプで、Shaftにガタつき防止のRetainer-Ringが付いております。
 ですが、その為、KnobがShaftに深くは収まらず、見た目、Bodyからかなり浮いた状態になるのが不格好です。
 また、Rotate Actionもかなり固いです(これは、使用されているグリースのせいです)。
 そして、おかしなことに、わたしの個体では、FrontとRearで端子の繋ぎが違っていました。作業、いい加減(苦笑)。
 しかも、Solderingはかなりヘタクソで、使用されているSolderの質もあまり良くない物です。

 Custom Shop製なので、Gibson踏襲の編み上げShield Wireが使用されていますが、黒い皮膜のOuter Tubeが中途半端に使用されており、ここにも大雑把&手抜きなエエ加減さが見て取れます。本来はShield Wire露出部分全てにTubeを被せないといけません。

 そしてまた、Wiringのルートなのですが、Rear Pickupへのルートが誤っておりました(画像、下段の左方向に伸びているWire)。
 本来は逆方向にFront Volume Potを経由して配線されないといけないです。この状態ですと、f-HoleからWireが見えてしまい、また、Body内部でブラブラして、共振したりしてしまいます。

 実は、あまり期待していなかったのですが、PotのWiringは、"'50s Gibson Wiring"になっておりました! ココはキッチリ押さえてたんですねー。他は思いっきりテキトーな出来でしたが。

 で、これら、一からやり直しです。

After - Modified

 Wiring完成。取り付け前の確認時画像です。

 Capは、N.O.S.のSprague 160P "Black Beauty" .022μF 400vを2個蔵出して、贅沢に使用してみました(FrontとRearのCapの大きさが違って見えるのは遠近感のせいです)。
 現在では時価@10,000 yen(!)という、大変貴重なCapなので、足はなるべく長がめにCutしています。
 絶縁皮膜Tubeも、Old GibsonのEmpire Tubeです。あのCustom Shopの黄色いのとはぜんぜん雰囲気違うでしょー?(て、取り付け後は全く見えませんが)

 ただ、予想外にRear PickupのWireが短かった為に、画像のようなWiringの引き回しになってしまわざるを得ませんでした。
 しかし、これでf-HoleからWiringは見えないようには出来ます(こっち向きルートが正調なのです)。
 また、黒い皮膜Outer Tubeも今回は入手が出来なかったので、Gibsonエエ加減ファクトリー継承の中途半端なままとなっています。

 Potは、全てCTSのAluminum Shaftの500k ohmsに交換しました。わたしは、どっちかというと、Aluminum Shaftの方が好きなんです。このShaftの材質の違いで音質の差があるとも言われていますが、私的には絶対的体感経験はありません。あくまで、気分と、Knobの収まり具合をマトモにしたかったからです。
 ただし、これらのPotは、取り付け前にすべて一旦分解清掃して、グリースを交換しています。なので、オリジナルとは別格のSmooth-Action Potへと変貌しております。

 今回、CapとPotの同時交換なので、個別の音質変化はわかりません。というか、Potの音質変化はCapの比ではないので、殆どがCap交換での変化、と考えてよいと思います。 

 で、音質はやはり激変いたしましたー。
 Replica Bumble-Beeは、中身は一応、現在生産されているP.I.O.(Paper In Oil) Capということで、Warm傾向のToneだったのですが(特に嫌いではありません)、本物Black Beautyは、切れ味の良い非常にシャープな音質。Knobを回したときに、モコッというTone変化ではなく、シュコッて感じで、スムースで気持ちの良い変化をします。また、不自然さがないトレブル減退感で、芯がボケずにちゃんと残ります。
 Toneフル10時でもかなりの変化が体感出来ました。凄いパンキッシュな330の音、というか、一般的に想像するセミアコ系の音の感じじゃなくなりましたね。あの、McCa卿のEpiphone CasinoのSoundに近い、大変トレブリーな傾向です。
 気に入っちゃいました、この音。

 時代考証的には、'50sなら、Bumble-Bee、'60sなら、Black Beautyが正調。Fab Fourマニアックな方は、迷わずBlack Beautyでしょう。
 Jazz系プレイが主で、Fat & WarmなToneが好みの方は、オリジナルのままが良いかも知れないですね。
 Single Coil Pickupの切れ味と、P-90のWild Thingを求められる方はBlack Beauty、かな?

2012/05/02

Late '60s Telecaster Bridge Plate

Fender Original Late '60s Telecaster Bridge Plate

 1960年代後期オリジナル品をゲットしました。

 最近、大きな出費が続いているので、本当はこんなものを今買ってはダメなんですけど、コンディションがすこぶる良く、しかも、プライスが送料込みでも市場価格の1/3以下だったので、「これは逃せん」と。殆ど、病気ですね(苦笑)。でも、このタイプのBridge Plateは、探すと、案外見つからないんですよ。なので、買っておいて正解だとは思ってるんですけどね。

 音質にはほぼ影響のない、見た目オンリー自己満足アイテムですけれど、これで、我がRosewood TellieのBridge Plateは年代に正調な状態になりますです。でも、弦を新しいSetに張り替えたばかりなので、しばらく交換はお預けですー。

2012/04/30

High-Pass Cap Of Rickenbacker Guitar & Bass

 RosewoodのTellieを手に入れてしまったので、しばらくはTellie系の記事が続きましたが、またもRickenbacker Bass登場です。


 わたしのRic Reissue RM1999 Bassには、SilverカヴァーリングのRic純正G & G社製Vintage Hardshell Caseが付属していましたが、通常、本体はこれまたRic純正現行モデル用のSKBのMolded Hardshell Caseに仕舞っています。それは、こっちの方が遥かに収まりが良く、また、軽量だからです。勿論、見た目的にはReissueのSilver Caseの方がオーセンティックで高級感もあり、好きですけども。
 ちなみに、Mr. John Hallのおっしゃるところによりますと、Rickenbacker社では、これら両方のCaseに現物のGuitarを収めて、大胆にも、自社ビルの屋上から落っことす実験をしたのだそうです。その結果、Vintage Caseは、Case自体の破損は大したことはなかったものの、中身のGuitarは折れていたそうで、SKBの方は、逆にCaseは割れて壊れてしまっていたが、中身のGuitarの方には破損はまったく見られなかった、とのことです。

 えーと……今回の話題はCaseのことではなくて……、丁度、タイムリーにMarcyさんがコメントをくださったところで、Rickenbackerの"High-Pass"("Low-Cut") Capacitorについて、です。

 1960年代のRickenbackerのGuitar/BassのWiring CircuitのRear Pickupの回路にはHigh-Pass Capが取り着けられていました。これはその後、廃止されていた時期もあったようですが、Vintage Reissue Modelsにはオリジナル踏襲で、同様に取り付けられております。
 このCapの意味(効果)は、Rear PickupのLow RangeをCutして、High Rangeを強調させる為のものです。値は、Guitar/Bass共通に.0047μFで、この値についてはずっと変更はないのですが、Capacitorのメーカーについては、時代によって変更があります。1960年代の中期頃は薄いBlue(Fenderの"Seafoam Green"みたいな)色の薄すべったい四角い形状のRadialタイプのものが使用されていました。これにはメーカー名の記載が無いので、どこのメーカー製だったのか、マニアの間でよく取り沙汰されております、わたしも独自に調べてはいて、だいたいの目星はつけてはいるのですが、今のところ、不明のままです。ただ、私的には、その形状から、Mylarタイプのものだったのだと考えてはいます。「マイラー・コンデンサー」の"Mylar"というのは、Polyester Plastic樹脂Filmの一種で、Dupont社の登録商標です。

 で、当Blogでは、電気楽器全般の音質に与えるCapacitor(コンデンサー)の重要性は大きい、という観点で述べさせていることが多いのですが、またしても、その実践でございます。

  この画像の上段のものが、わたしのRic Re RM1999 Bassにデフォルトで取り付けられていたもので、一般的な金属皮膜Registerの外観に酷似した形状のオレンジ色の小さなサイズのものです。一目ではRegisterと勘違いしそうなカタチですよね。耐圧は80v。メーカー名の記載がないので不明なのですが、SBE社製の"Orange Drop"の一種ではないかと思うのですが。或いは、Ceramicのタイプなのかも知れません。他の現行モデルにもこれと同じものが取り付けられているであろうと思います。

 2段目のものは、CDE社のAxial Filmタイプのもの。耐圧200v。年代は不明ですが、1970年代のRickenbackerで採用されていたのと同タイプの耐圧違いだと思います。N.O.S.品を入手して、しばらくはこれに交換していました。これは、比較的入手が容易なものです。

 三段目のが、今回入手したAjax製の、いわゆる"Blue Molded"タイプのもので、劣化のないUsed品です。耐圧は400v。AjaxのCapは、誤差が非常に低く、信頼性が高いと思います。ただし、入手は超困難です。
 Tone Capについては、同じく、Ajaxの"Blue Moleded"がOld '60s Rickenbackerオリジナル仕様ですが、High-Pass Capについては、前途のとおり、これがオリジナル仕様というわけではありません。

 これら、それぞれ耐圧は異なりますが、値はすべて同じ.0047μFです。

 Capの音質は、耐圧の大小でも若干傾向的に違いがあることから、耐圧の仕様についてもある程度重要視されてはいますが、Guitar/Bass用のTone Cap用としては、だいたい、どこのメーカーでも400vのものが使用されていることが多いです。ただ、耐圧が高い仕様のものは、図体も大振りになる傾向なので、コントロール・キャビティのスペースを優先考慮しての選択がなされていると考えられます。

 さて、その音質なのですが、同条件下でのチェックは出来てはいません。といいますのも、RearのHorseshoe PickupをOriginalに交換してしまったので、根本的な条件が変わってしまったからです。
 このHigh-Pass Capですが、当然のことながら、本来のBassらしい低音域がCutされることから、それを嫌って、取り外してしまうRic Bassオーナーもかなり多いです。Bassではありませんが、前回、わたし自身、TelecasterのHigh-Pass Capは取り外しましたしね。しかし、このRic Bassの場合、オリジナルの音質の傾向を維持したいということと、もうひとつは、Front PickupのウォームなトーンとRearのトレブリーなトーンのブレンドされたセンター・ポジションのサウンドこそが「らしさ」だと思っているので、個人的にはこのHigh-Pass Capの存在を重要視しています。

 デフォルトの80vのCapは、購入時からReissue Horseshoe Pickupとのセットでヒアリング……可もなく不可もなく。元々、Reissue Horseshoe Pickupはトレブリーな音質ではなく、図太い系サウンドのPickupなので、High-Pass Cap着きでもHigh Rangeが特に際立ったサウンドにはなっていませんでした。
 ……そして、CDEの200vに交換。しかし、聴感的変化は殆ど感じられず、これまた、残念ながら、無感動なものでした。
 それからその後、OriginalのHorseshoe Pickupに換装したわけですが、High-Pass CapはCDE 200vのままでした。それをまた今回、改めてAjax 400vに交換したのです。

今回の結果は、先の2種とは異なり、激変でした。明らかに音質がクリアーで、ブライトになりました。このAjaxの音と比較すると、以前までの2種のCapの音は、輪郭がかなりぼやけていた感がしてしまいます。Ajaxの場合、Low RangeがCutされたことによる、音色が薄っぺらくなった感はなく、芯のあるしっかりした音質です。そのブライトさは、喩えるなら、メタリックというより、クリスタル、といった印象。まるでReverbが付加されたかのような、自然なエアリー感があります。センター・ポジション時の、Front Pickupとのブレンド音色が艶やかで、特に素晴らしいです。そう、「艶感」という表現がピッタリな気がします。このCapはオリジナル踏襲ではありませんが、大変気に入りました! 

 うーむ、もしかすると、耐圧規格の大小も重要なのかも知れませんね。このHigh-Pass Capにおいては、耐圧が高いものの方が結果が良いかも。

 ちなみに、Ajaxの400vは、スペース的には、画像のような取り回しで4001系のキャビティ内に収めることは出来ますが、Used品の場合は、足を短く切ってしまってあることが多く、その場合は配置に工夫が必要になるかも知れません。

 RickenbackerのオリジナルのWiringの場合、PickupからのWiringは一旦、Switchを介して、その二次側端子からVolume Potへと結線されているのが普通で、Gibson系のWiringとは違い、VolumeとToneは独立して機能します。そして、Tone Capは、デフォルトではVolumeへ信号が渡る以前の、Switchの一次側端子上でPickupと直結結線され、Tone Potへ繋がっています。
 ちなみに、オリジナルのTone Capの値は.047μF 400vです。

 High-Pass用途のCapacitorの適用タイプ的には、Ceramic、Mylar、P.I.O.(Paper In Oil)、その他のFilm系、と、N.O.S.品でも様々ありますが、値を.0047μFに限定すると、案外、選択肢は狭まります。「高品位」という意味では、Silver Micaという手もあります。Micaだと、音質的にはかなりHi-Fi傾向になるかも知れませんね。

 今回のヒアリングは、Original Horseshoe Pickup(6.8k ohms)とセットでの感想です。Reissue Horseshoeでは、恐らく、音質的傾向は大分違った結果になると思われますので、その点、よろしく。

2012/04/20

Pettit Customizing For My Tellie


 Neckまわりも完璧で、回路とSaddleのModifyによって、実用的にはほぼ満足のいく仕上がりになった、Rosewoodな我がChocolat号ですが、あと2点、差し当たって、実用的に自分仕様にしたいところがありました。

 先ず、Switchの先端に着いているTip。
 デフォルトで着いているTelecasterのは、2nd. Generationの、いわゆる"Top Hat"型と呼ばれるTypeのものなのですが、無意味に大き過ぎるんですよね。でもって、コード・ストロークの際など、ちょうど手に当たる箇所に着いてるんです。そんでまた、これ、手に当たったときにポロッと外れ易いんです。
 Strat用のは、これよりも小さいTipが着いていて、Switch自体はTeleとStratで互換性があるので、「Tipだけ、Strat用のに換えたらどうかな?」と。Blackのにしたら、目立たないし、違和感もなく、手に当たる面積も少なくなるんじゃないかと。

 で、Strat用のTipに交換しませり。
 「おー! ちょっとのことで手の妨げにならん」イイ感じっす。思惑どうりです。
 遠目には、交換されていることには気づかないくらい目立たないです。
もう一つは、Control Knobsでして、Telecasterのは、Metal製の重厚な造りのTelecaster専用デザインのものが着いていますが、これには目盛や、数字、Pointerなどの目印になるものが一切着いておりません。なので、いちいち触って確認しないと、Levelが0か10かもパッと見では確認出来ないので、AmpにPlug-Inした際などに、いきなり「バツッ!」ときたりして、実用的にちょっと不便。ルックス的には決して嫌いではないのですけども。

 てな訳で、これを、Muddy Waters師匠に習い、Fender Amp(Black Face期)用、Bakelite製のKnobに交換してみました。
 これなら、実用上問題ナッシングで、軽量化にもなりますし。
 Plateとの一体感が薄まり、高級感が少し削がれてはしまいましたが、操作感は極めてよいです。


 こんな感じになりました。
 若干、見た目のOriginal度はスポイルされるCustomizingではありますが、ちょっとばかし個性も付加したかったということもあり、また実用性の問題も解消され、私的には大満足です。交換したPartsは、何れもFender USA純正なので、いちおう、統一感は保たれてはいるかと。

 そして、ここまでのところの、この2007 Fender Custom Shop Rosewood TelecasterのImpressionなのですが、素晴らしいです。
 Originalと弾き比べることは叶いませんが、Tellieて、こんなに良かったのかー、と。一番自分に合ったGuitarなのかも知れない……今更(苦笑)。

 NeckのProfileは、'60 Stratと同じく、薄めの"C" Shapeなのですが、Rosewoodの方が若干細め&薄めで、テーパー感の少ないTypeでした。StratのNeckもお気に入りでしたが、このNeckは更に良いです。また、Neckがよく鳴る(響く)。良いGuitarはNeckが鳴らないとダメと思っているのですが、Rosewoodの材質でしょうか、音の立ち上がりがMapleよりも早く、鋭いのですよ。敏感。だから、弾いていて、左手が楽しい。Neckで感じる、材質による響きの差は大きいですね。

 Bodyは、Sound-Holeは開いていないSemi-Hollowですし、重量的にもSolid Bodyとあまり変わらないので、実際にPlayしていてもそのあたりのことをまったくと言っていい程に意識することがないのですが、サスティーンのバランスがとても良いと思います。Solid Bodyの、本来のTellieのソリッド感はスポイルしていないと思います。これも、やはり、Rosewoodの材質の影響かも知れません。柔らかさ/甘さ/ウォームさ、よりも、堅さ/シャープさ、の要素の方が多い。Neckと同じく、良い意味で、音に鋭さがあるように感じます。デッド、ダルなところを感じない、自然な響きです。

 塗料の材質による音の影響もよく言われますけれども、このGuitarに限って言うと、Polyurethane Finishによる差異は、薄塗りであることもあり、特に感じませんね。Nitrocellulose Finishと、それ程の違いがあるとは感じれません。塗料の質の違いは置いておいて、その塗膜の厚さが音質(響き)に与える影響の方が大きいと思います。

 Stratを手に入れたときにも思ったのですが、同じCustom Shop製ですと、GibsonよりもFenderの方が、造りの完成度、楽器としての良し悪し、すべての面において遥かにQualityは高いと思いますね。なので、当たり/外れも少ない。Fenderの場合、良い意味での個体差はあっても、悪い意味でのそれは少ないように感じます。

2012/04/16

Compensated Saddles for Tellie

Chocolat Modify第2段は、Classic Style Telecasterのお約束、Saddlesです。


Miss-Matched Fender Custom Shop Factory Original Bridge
Chocolat号に元々取り付けられていた、このCustom Shop Factory OriginalのFender USA純正Bridge Plateは、時代考証的にはミス・マッチなVersionで、本来は"FENDER PAT. PEND."の刻印が斜めじゃないTypeが正解。そして、Saddlesも、このSpiral Typeではなく、Stainless製で弦が乗る位置にのみ溝が切ってあるTypeでないといけません。
 でも、2007年のLimited Releaseものには何故かこの一時代前のTypeのが取り付けられていて、Rosewood Teleよりも廉価な他のCustom Shop ModelではこういうPartsの時代性に拘っているのに、なんか、ちぐはぐですよね。Gibsonほどじゃないですけど、さすが、Fender U.S.A.、テキトーにユルイです。恐らく、製作時にPartsの在庫が欠品していたのではないでしょうか?

 さて、Original Telecasterの場合、ゆわゆる、"3 Way" - Barrel Saddlesなのですが、これは、その形状からわかるように、各弦に対して独立して作用しておらず、隣り合った弦同士「ニコイチ」構成になっており、IntonationのPitch Adjustが完璧にはできません。これは、Tuningを誤摩化しつつ、可能な限りイイ感じに合わせたとしても、やはり演奏上、Intonationのズレを伴う為、ストレスこの上ないものでして、そこで、Stratのように各弦に独立したTypeのSaddleを搭載したBridgeが、Up-Graded Versionとして後に(かなり後期に)登場したわけですが、それはそれで、どうもTelecasterには見た目的にしっくり来ないのですよね。元々が男らしいシンプルなギター故に、ハイテク(?)なPartsの見た目から、ミスマッチ感を抱いてしまうのではないでしょうかね。あと、Saddleに掛かるテンション感の問題もあります。
 やはり、同じように感じてらっしゃるTellie好きは多くて、オリジナルの3-Way Saddlesのコンフィグレーションの見た目のまま、このIntonationの問題を解決しようと試みられた、Pitch補正済みTypeの"Compensated Saddles"というのが今では社外品として数種類出揃っております。金平糖製ではありません。

 また、Saddlesの材質は、Fender Originalでも時代によって、Steel、Brass、Stainlessがあり、社外品も同様に、Titan製とか、他の種のものも出揃っております。それぞれ、見た目の質感も音質も違い、そのあたりはPlayerそれぞれで好みの別れるところでもあります。

 今回、3-WayのCompensated Saddlesに交換すべく、しかし、見た目の変化は少なくしたかったのと、素材としても最も無難な、SteelにNickelのメッキが施されたVersionのSetを選択しました。「とりあえずはIntonationさえ合えば、無問題」ということで、Brandには拘らず、No Brandの安価なものにして、Chocolat購入時に既に発注済みで、その到着を待っておりました。


Up-Graded With "Compensated" 3-Way Saddles
で、入手しましたのがコレで、画像は既に装着完了、Adjust済みの図です。

 SaddleのBarrel部分の径は、補正分の面積確保の為、Originalよりも若干太く、相対的にSaddle自体の質量が増してますが、弦の乗る位置の妨げにならないように、という配慮からか、Height Adjust Screwは逆に細く、1.5mmのAllen Keyで調整するTypeです。わたしはかなり低めの弦高にSetするのですけども、Saddleに手を乗せても痛くならない適当な長さでした。
 Pitchの方のAdjust Screwの径もOriginalよりも若干細く、Headが、+/-の何れのScrew Driverでも使えるもので、Thread PitchもOriginalよりも細目(たぶん、Inchではなく、mm規格かも?)。つまり、OriginalのSaddleとはScrew類の互換性がまったくありません。
 また、Springの線径もOriginalよりも幾分細いものでした。
 アメリカから取り寄せましたが、これ、恐らく日本製ですね……日本で買うよりは安く買えはしましたが(苦笑)。

 取り付けと調整は、特に難しいものではありません。Strat Typeのように、Saddleの中を弦が貫通してはいませんから、なんなら、弦張りっぱのままでも、緩めれば交換可能で、ToolもScrew DriverとAllen Keyがあれば事足ります。
 あとは、各弦のHeightを調節して、Intonationが合うように徹底的に微調整すればよいだけです。

 ちなみに、わたしは弦のTuningに"Tuning Meter"というものを使用していません。特に、このIntonationのAdjustには。
 と言いますのも、一般的なTuning Meterは精度が低く、信用ならんからです。経験的に、自分の耳で合わせた方が正確なのです。もし、Tuning Meterを使用するのなら、Strobotic Typeの高級なものでないと使い物になりませんよ。
 人間の感覚というのは、機械よりも遥かに繊細で、鍛錬すると非常に鋭くなるのです。確かに最初のうちは耳でintonationを合わすのは難しい作業でしたが、慣れると、かなり微妙なところまで感覚でわかるようになります。仕事柄、Concert Pianoの調律師の仕事ぶりをしょっちゅう見るのですが、彼らとて同じことです。しかも、Pianoの場合は、Guitarの6弦どころの数ではありません!
 また、友人のギタバカ氏は、過去、Tuning Meterに頼り過ぎたからか、自分の耳でのTuningがめちゃめちゃ下手なんです。わたしはいつも、彼のTuningしたGuitarの音を横で聴いていて、気持ち悪くてしょうがないんですよ。しかし、当の本人はというと、どうやらPitchが狂っていることがわからないみたいで、平気でジャカジャカ掻き鳴らしてるんですよね。まー、それはそれで「幸せなひとだなー」とか思っているのですが、彼がTuningしたGuitarは、わたし的にはそのままではとても弾けたもんじゃないです。
 なので、Tuning Meterに頼り切っている方は、しばらくは使うのを止めて、自分の耳を今一度信用してみてください。IntonationのAdjustは、最初は難しくても、鍛錬すればあなたの音感は鋭くなり、そして、調整はTunerを使うよりも正確になります。

 さて、ちょっとSaddles本体とは話題が逸れてしまいましたが、元々、OriginalのSaddleの状態でのIntonation Pitchのズレは、まぁ、なんとか許せる範囲ではあったのですが、交換後はさすがにほぼバッチリで、現状、ストレス・フリーのUp-Gradeです。費用対効果(航空便送料込みで2,000 yenしなかった!)はすべての点においてかなり高く、文句ないです。後は、錆びなどの耐久性の問題ですが、当面はこのNo-Brandモノで十分かと思われます。
 見た目的には、Vintage感は少々損なわれますが、印象的な違和感とハイテク感は最小です。ただ、Springの線径が細いので、グニャーとしてて、気分的にヤワな感じがしてます。
 音質は、何となく図太さが失われ、心無しか、音の芯の響きが繊細になったような気がしないでもないのですが、たぶん、それは錯覚でしょう。サウンド的に、何かが損なわれた感はゼロです。String Bendした後でもTuningに狂いのない状態は、やっぱし、最高に気持ちよいですね!

2012/04/13

Blog修正

 先日、Blogの基本デザインを変更したので、過去記事のレイアウトの一部の体裁が乱れておりました。見辛かったことと思います。すいません。修正済みです。

 当Blogは、日本語表記のBlogなのですが、これまでのアクセス・トラフィックをチェックしておりますと、海外からの来訪者が圧倒的に多いのですよね。で、そういう方々にも内容を想起していただけるように、という配慮もあり、なるべく英単語を多用しています。

 もし、他に何かご要望などがありましたら、コメントいただければ、善処したいと思っていますので、お気軽にどうぞ。

2012/04/12

Gibson '50s Wiring For Fender Tellie

 RosewoodなChocolat、生鳴りは素晴らしく良いです。Stratも良かったのですけど、やはりTeleは更にその上のサスティーンですね。
 Neckがほんのちょい順反りだったのを補正。完璧なストレートになりました。
 で、肝心のPickupを通したSoundなのですが、これが、FrontとRearの音質差があまりなくて……。

 歴代Fender Original Telecasterの場合、Wiringが3 Versionあって、Rosewood Telecasterの時代は最終期ジェネレーションの、Telecasterで言うところの、いわゆる"Modern Wiring"のVersionです。Presetは、[Front/Front & Rear/Rear]の、一般的な3-Positionなのですが、試聴感的には、そのどれもがあまり音質に差がないのですよ……Front Pickupが、Rear PickupのCoil巻き数リダクションVersionみたいな。これではCenter Positionの意味が……ナッシング。
 うむ、このModern Wiring Typeでは"High-Pass" CapacitorがVolumeに付加されてるのですよね(1967年頃からの仕様)。恐らく、これがその元凶と察しをつけました。
 これは、Volumeを絞ったときの「High落ち」を防ぐ為に施されているのですけれども、同じ意味合いならば、過去記事で紹介しています「Gibson '50s Wiring」の方が本来のSoundとToneをスポイルすることなく、自然な効果が得られます。実際、Stratで試して、その効果の程も確認済みですしね。(過去記事参照 1

 ということで、早速、初Modifyに取り掛かりました。

Before: Custom Shop Original Wiring
Originalの状態です。
 Ceramic Disc TypeのCapacitorが2個着いてますよね。Volume Pot上のGND. TipからTone PotのWiperに渡っている方がTone Capacitorで("RoHS" Stickerの位置)、値は0.047μF(実測値: 0.04662μF)。
 Volume Pot上の2つのTipに平行に着いてるのが"High-Pass" Capacitorで、こちらの実測値は666.8pFでした。このHigh-Pass Capは、どのSwitching Positionでも同様に効くような回路になっています。
 しかし、最近のCeramic TypeのCapacitorはダウンサイジングが進んで、どうも見た目が貧そでいけませんねー。イイ音しそうな感じがまったくしません(苦笑)。
 今回、これら両方共取っ払って、ついでにTone CapをLuxeの'60 Replica Type 0.05μF(実測値: 0.05168μF)に交換します。これも、Stratで効果上々だった(過去記事参照 2)のと、丁度、手持ちのTele用の在庫が在ったので。

 Potは、Volume/Tone共、CTS製Solid Shaftの250k ohmsです。

 ちなみに、搭載Pickupは、Fender Custom ShopのSpec. Sheetによりますと、Front: Custom Shop Vintage '63、Rear: Custom Shop Vintage '67です。
 ついでにこれらのPickupのDCRも計測してみたのですが、それがですね……3.688k ohmsと3.688k ohms……え? 異常に低くないですかー?! しかも、まったく同じ値、て。Testerの故障かも知れないと、別のTesterに換えて繰り返し計測してみたのですが、ほぼ同じ結果……有り得ない。これ、通常の半分の数値ですよ? でも、実際の出力的にはまったく問題ないのですよね……。また、交換されたような形跡はなく、元々搭載されていたままのCustom ShopのOriginalのPickupに間違いないと思われます。
 所有のFender C/S Stratとイコール・コンディションで聴き比べてみましたが、聴感的に出力は見事にほぼ同じレベルでしたので、StratのPickupの6k ohms台のDCRに近い筈です。これは、どう考えても計測値の数値の方がおかしい……謎です。まぁ、今後継続調査ということにして、今回はこの件は取り敢えず置いておくことにしました。

Modified: Detached High-Pass Cap, Tone Cap Changed To Luxe Repro Cap With Gibson '50s Wiring
Modify完了です。
 やっぱし、LuxeのCapはReplicaながら、Original然としたルックスで、見た目も良いですね。でも、Rosewood Teleの時代的には、OriginalはCeramic Disc Typeのなんですけどね。George先輩の"Let It Be" Soundに拘るのなら、当時のDisc Capに替えると良いでしょう。Ceramic Disc Typeなら、まだオリジナルが比較的安価にゲットできます。
 High-Pass Capはお役御免で、早々におさらばいただきました。そして、配線を一カ所繋ぎ替えるだけの、コスト@ゼロ、でも、効果絶大のGibson '50s Wiringを施行。

 Bingo! 結果は察したとおりでした。本来のFrontとRearの音質差が現われました。単純にわかり易く言うと、特にFront Pickupが、Frontらしい音に(戻ります)。
 要するに、High-Pass Capは、設定値から下のLow Rangeをグサッ!と"Cut"して切り捨てるのですが(それが目的)、同時に、Mid Rangeの、ギター的に「美味しいところ」のToneの一部までをも幾分同時に持ってっちゃうんですよね。そのために、Front Pickupの本来の「らしさ」的音域が失われていたわけです。Rearについても同様ですが、音質的にはFrontの方が躊躇です。やはり、Frontには、このエアリー感が大事です。
 High-Pass Capは、その値にもよるのですけど、Pickupの性質によって効果も変化しますし、設定は難しいのですよね。言わば、「あちらを立てればこちらが立たず」という具合なわけです。この値ですと、Rearにのみ効かすのなら、まだマシかな……とは思いますが、試聴の結果、私的にはFront/Rearのどちらにも無しの方が断然Toneが自然、且つ、リッチで、音に広がりがあり、遥かに良いと感じました。Midレンジが薄いと、立体感のない、非常にチープなSoundなのですよね。
 High-Pass Capを取っ払う前は、SwitchのCenter Positionの意味がまったくと言っていい程、音質の差がない状態でしたが、これなら、3-Positionの音質差が明快でハッキリして、ちゃんと3通りのSoundヴァリエーション的に本来の使い出があります。
 また、'50s Wiringによって、Rear PickupはHigh Rangeが耳に痛くない、癖のない自然な伸び感になりました。Mid Rangeが復活したことで、音に芯が戻って、図太く、エッジがあり、シャープな、あのTelecasterの"Twangy" Soundです。クリーンでも、歪みでも断然この方が奥行きと厚みがあって、良いです!
 それに、Luxeはやはり良いですねー。Tone変化が自然で、嫌な籠り感がないです。お気に入りのCapacitorです。

 ということで、わたしと同じく、Pickup Positionによる音質差の変化の薄さが気になる方は、一度、High-Pass Capを外して試してみては如何でしょう?

 我がChocolat、一先ず、電装系はこれで完璧な気がします(PickupのDCR値の謎は残りますが……)。
 次、いじるとしたら、Pickupを自作に交換ですね!

P.S. わたしとしたことが……バカやってました(笑)。FrontとRearで数値がまったく同じというところで、何故、気づかなかったのでしょうかね? 結線された状態での計測で、SwitchがCenter Position固定状態だったのでした……。
 Front (Custom Shop Vintage '63): 7.648k ohms
 Rear (Custom Shop Vintage '67): 6.822k ohms
 が、各Pickupの実測DCR値でした。(恥!)

2012/04/10

2007 Fender Custom Shop Rosewood Telecaster Limited Release


 ずっと欲しかったTelecaster。でも、何故かこれまで縁がなく、やっとのことでのお迎えです。しかも、あのRosewoodの1本!

 Telecasterとなると、私的にはMaple Fret Boardのは嫌いなので、やはり、Early '60s仕様のSlab Rose Fret Boardのか、このRosewoodのか、どちらかのFender Custom Shop製と決めてました。でも、何故かどちらも生産/市場流通量が極端に少ないのですよね。しかも、どっちもお値段はカワイクナイ、と。
 それでも諦めず、ずっと探してはいたのですが、個人的に「コレだ!」と思えるものは中々見つかりませんでした。その間に、あのES-330に手を出したりしたのですが、そういうときに限って、こうして良い品が被って見つかるものなのです。「ヤレヤレ……」てな感じです。しかし、今回見つけたRosewoodのは、コンディションも面構えも、自分的には完璧に近かったので、スルーするのはあまりにも悔し過ぎ、後先考えず、気合いでゲットンしてしまいました。

 Bodyはセンター合わせの"Two Pieces"ですが(厳密にはFour Piecesか?)、よくよく見ないと、センターの継ぎ目がまったくわかりません。グレート!
 
 このRosewood Telecasterは、言わずと知れた、元Fab Fourのお一人、故George先輩が使用したPrototypeのドンズバReplicaモデルであり、Telecasterの中でも世界的に人気の高いモデルですが、そこらへんのGeorge先輩絡みの詳しい解説と蘊蓄は、他のBeatle Fanaticな方々に譲るとしますです。
 個人的には、George先輩への憧れ、というよりも、シンプルだけど、美味しいとこはガッツリ持って行く、あのSteve Cropper師匠のTelecaster Soundがずっと欲しかったのです。Staxのサウンドの大ファンなもので。

 さて、これは、本家、Fender Custom Shop製の2007年モデルで、いわゆる"Team Built"のLimited Releaseものの1本。これ以降、単発のMaster Builtものを除いて、Custom Shopでは現在までこのモデルの再発はなく、一応、現行品としてもレアなモデルということになります。
 この"Limited Release"というのは、"Limited Edition"とはまた違う意味合いのものだそうで、Limited Editionが、予め決められた本数限定生産なのに対して、Limited Releaseというのは、「予め決められた期間内に受注された本数分のみ生産する」ということらしいです(微妙……)。なので、生産された本数は公表されてませんから、不明ですね。2007年の年末までの冬期限定受注だったらしいです。
 「貴少なローズウッド材を贅沢に使用した……」と、よく言われますが、実際、2007年Versionは何本くらい作られたのでしょう? もし、Serial #がこのモデルだけに通しの連番だとしたら、調べた限りでは、裕に300本は在ることになりますが……。

 OHSCは、Custom Shop用の"White Tolex"カヴァーリングにRedプラッシュ・インテリアのもので、Custom Shop "Limited Release"刺繍入りの豪華なもの。いつものG & G Quality Case Co.製です。

 この"White Tolex"タイプのケースは、60年代初期仕様の、レアなヴァージョンを再現したもので、現行のCustom Shop Modelでも、一部の上級ものにしか付属されないみたいで、最も数少ないTypeかも知れませんです。
 ですけれど、時代考証的には、本当はRosewood Telecasterの時代は、本来、Black Tolexタイプが正解です(そのタイプが付属していた個体もあったみたいですが)。
 どっちかと言うと、このRosewoodの色目的には、Black TolexのHardshell Caseの方が似合う気がします。


 この画像はちょっと埃っぽいですけど、Headstockもイイ感じです。
 Early TypeのSilver Letteringで、いわゆる"Spaghetti" Logo。Logo Decalの貼り付け位置は、決まってるようで決まってないのか、1本、1本、バラバラですね。まぁ、木目と同じく、個性が加味されて、オーナー的には良いです。なにがなんでも「George先輩と同じじゃなきゃヤ!」なひとは、ドンズバな位置に貼り換えましょう。
 Tunerは、Fender "F" Tuner Replica。

 OriginalのRosewood Telecasterは、PrototypeがGeorgeに渡った後に製品化された本家のVersionが極少量であった為に、需要と供給のアンバランスで、その後、偽物が多く作られており(日本製の偽物が最も多いかも?)、世の中に存在する割合的には本物よりも偽物の方が圧倒的に多い、特殊なモデルかも知れません。

 George先輩のはSolid Bodyだったと言われており、大変重いという話しで、その後、当時、少量製品化かされたVersionでは、Body内部をくり抜いたSemi-Hollow構造となっていました(恐らくは軽量化の為)。なので、このCustom Shop製のBodyについては、厳密にはGeorge仕様ドンズバではなく、製品化Version踏襲のSemi-Hollowなっています。Solid Bodyの真性Versionは、正式には未だにReissueされてないのではないでしょうか?
 しかし、Neckは、George先輩のと同じく、BackにMapleのストライプの無い、2 Pieceの貼りFret Board仕様で、これについては、製品化されたVersionでは、1 Piece化されておりました。ちょっとややこしいです。

 ちなみに、日本ではこのモデルのことを「オール・ローズウッド」とよく言われてますけれども、海外での呼称は「オール」は着かず、"Rosewood Telecaster"です。たぶん、日本で最初に専門雑誌で紹介されたときに「オール」が着いてたので、それがその後、呼称として定着したんでしょうね、きっと。
 一端、Bodyをスライスして内側をくり抜き、薄いMapleのVeneerを挟んで接着しているのが、この画像でわかると思います(Solidのタイプにも同様のMaple Vennerが接着されています)。要するに、これは「最中」構造。
 この表裏二枚接着構造は、経年変化による割れを防止する為であるとか、いろいろ言われておりますが、単純に、効率よく木材を使用せんが為ではないかと私的には考察します。RickenbackerのSemi-Hollowタイプがこれと似た構造ですが(というか、Rickenbackerの方がこの構造の本家筋か?)、あちらの方が木材は大胆、且つ、贅沢な使い方をしています(Mapleですけどね)。

 木取りは、板目のものもありますが、ターゲット的には、できるだけ木目の揃った、ドン柾目の個体に執着して探してました。それは、見た目もさることながら、私的には、音質的にも柾目がベストと考えてたからです。何故なら、それは、アコースティックのTone Woodが必ず柾目なことでだいたい説明がつきます。でも、美しい柾目の個体は、かなり贅沢な木取りでもあることから、割合的には非常に少ないのです。
 また、なるべく濃い色目のものが良い、と。まぁ、それはサウンドとはあまり無関係ですが。この個体は、茶色というよりも、黒っぽい大変ダークな色目の個体だったので凄い満足です。
 Finishは艶消しのサテン仕上げで、これもGeorge師匠の個体踏襲。社長室の執務デスクか、或いは、役員室の応接セットの質感を彷彿とさせる、大人な高級家具調度品的ゴージャス感で、グロス・フィニッシュよりも好みです。
 塗料は、当時と同じくPoly Urethanですが、かなり薄塗りのようです。
 通常のGloss Finishの場合、塗り上がった状態から、Polishingの行程を経てピカピカの艶仕上げで完成となるのですが、このSatin Finishの場合は、Steel Woolで擦っての「研磨仕上げ」なわけですね。ですので、磨けば、Gloss Finishにはなります。
 しかし、このRosewood Teleは、歴代Telecaster Model中、最も美しいモデルではないでしょうか? 当時の新品時の価格も、歴代で最も高価なモデルでもあったでしょうが。

 オリジナルはBrazilian Rosewoodと思っていたのですが、Indian Rosewoodだったそうです。Brazilian Rosewood(通称、Jacaranda)は、Rosewoodの中でも最も高級な材で、現在ではワシントン条約で伐採が厳しく制限されており、取り引きにも制約があり、今では大変貴重で高価な木材となってしまいました。ギター用のRosewood材の種類としては、今でも最高級の材とされております。
 現行モデルの殆どが、オルタナティブなIndian Rosewoodを使用しており、これもその例に漏れませんが、厳選された材を使用しているように思います。
 そして、このRosewood材は、比較的密度が高い木材なので、ギターによく使用される他の木材よりも圧倒的に重い質量なのですよね。
 以前、Fender MIJの個体を楽器店で見つけたので、試奏してみようと手にしたことがあるのですが、持ち上げたその瞬間に、「これはダンベルか!」と言いたくなるくらい、ググッと腕が下がってしまう程の重さで(大袈裟な話しでなく)、座って抱えても膝に食い込んで痛くて、「これはとてもじゃないけど、ムリ!」と、Plug-Inすらせずに即座に店員さんに返した経験がありました。MIJのVersionは厚めのPoly Finishだったでしょうし、それもその重さの一要因だったかも知れません。木材の個体差による重量差も激しいようなので、Solid Bodyであっても、中には軽量な個体もあるにはあるらしいのですが、前途のように、George先輩のはかなりの重量級らしいです。
 で、これも、実際に手に取るまでは、Semi-Hollowとは言え、やっぱしそこそこ重いのだろな……と覚悟してたのですが、か、軽い! 予想していたよりも、拍子抜けの軽さでした(恐らく、3kg台後半あたりか)。これなら、所有のStratとあんまし変わりません。ストラップ掛けでもまったく問題なく使えます。これはよかった!

 軽く試奏してみましたが、やはり、Semi-HollowなのでBodyの生鳴りは上々、サスティーンも素晴らしいです。

 命名、Chocolat。
 これから、徐々にNeckの調整やら、Fine Tuningに取り掛かることにします。

 今回は到着直後なので、ざっとこれくらいで。

2012/04/09

Push & Pull(Final Abduction) Demo Remix


 全て自前のHome RecordingによるDemo Remixです。
 Guitarは、1965 Gibson SG、BassのTrackを今回、Original Horseshoeに換装した2009 RM1999で録り直しました(焦って録ったので、ミスが多いですが)。
 何れも、No Pedal Effects、Ampも使用せずのMTR直結録りで、Bassに関してはEQさえ触らずのピュア・スルー・サウンドです。

2012/04/03

A Forbidden Rosewood


 つ、遂に……禁断の領域に手を出してしまいました。
 近々、詳しくご紹介の予定(只今、空輸中)。

Guitar Fret Wire Maintenance

 ちょっと、Ricホースシュー・シリーズが連続だったので、ここはひとつ、箸休め的な記事をUpしとこうかと。


 久々に、引っ張り出したStratの弦交換ついでに、Fret WireをPolishingしました。

 よくよく観察すると、Fret Wireの仕上げは、Gibson Custom ShopよりもFender Custom Shopの方が数段丁寧で、ほぼ完璧な仕上げです。Fret Wireの状態を見れば、Factoryの職人の腕のレベルがよく解りますし、楽器というモノづくりに対するアプローチ、弾き手であるオーナーへの配慮も知れようというものです。

HOWARD
わたしの場合、Fret Wireの曇りが酷い場合は、Pikalで磨いて仕上げるのですけれど、軽度の場合は、Metal Polishing Clothだけ使って仕上げてます。これは、シルバー・アクセサリー屋さんに行けば、200 yen程度で手に入るのでリーズナブルです(楽器屋さんで買うと、同じようなものでも何倍もの価格です)。
 その後、Fret Board全体をHowardの"Orange Oil"を塗り込んで汚れを拭き取り、同じく、"Feed In Wax"というのを塗り来んで拭き取り、終了です。このOrange Oilは汚れも大変よく落としてくれますし、適度な湿度と艶を与えてくれる優れもので、長年の愛用品です。また、Old Guitar系に使用されているLacquer Finishにも問題ありませんし、香りもオレンジで、ケミカル・スメルじゃないのも気に入ってます。

2012/01/26

2011 Gibson Custom Shop ES-330 VOS Limited Run

 New Commer登場です。
 2012年、新たにお迎えしてしまいましたよ、Reissue ES-330さん。


 年明け、退屈だったので、いつものようにギタ・バカ・ネット検索してたら、 見つけてしまいまして……「おいおい、こんなん出したんかい!」と。
 で、ネット上の画像では、あまりにもドンズバ度が高かく見えたので、在庫店まで現物を確認しに。そして、惚れてしまいました。

 ES-330は、Gibson "Thin Line"シリーズのES-335の弟分的なモデル。
 ES-335が、センターブロック入りの"Semi-Hollow" Bodyなのに対して、ES-330はBodyが完全に空洞な"Full-Hollow" Body。
 このEpiphone Brand Versionのが、Fab Fourの3人が揃ってご使用だったことで有名なEpiphone Casinoで、そして、こっちのがGibson本家版なわけで、ドンズバ使用で有名なのは、Jazz界の大御所、Grant Greenさん。あと、Rolling StonesのBrian Jonesとか、かな?
 オリジナルの生産開始初年が1959年で、これは、その初期Versionを復刻再現したES-330で、C.O.A.上のModel #はES-30VNNH1で、2011年製Reissue版になります。当時のオリジナル版のModel #はES-330TDN。

 1959年モデルの大まかな特徴的には、17° Headstock angle、Dot position marker、16 Fret body joint、Black plastic pickup coverでしょうか。
 後、63年からはPosition markerがDotから"Block inley"に変更されますので、3年程しか製造されなかったVersionです。

 今回のReissueに際して、なにやら、Gibsonさんの口上によりますと、現存の1959 Versionの本物を3D Scanして採寸、分解して、内部や他の部分も含めた構造を分析して再現、だそうで、なるほど、本体のディテールに関しては高い再現性。でも、60年代に入って、Body shapingには少なくとも3つくらいヴァリエーションがあると思います。恐らく型枠が1つだけではなく、大量生産なので複数在ったからでしょう。

 そもそも、初めて買ったエレクトリック・ギターが、当時日本で造られていたEpiphone Casinoでした。
 以降、Oldの本物も数本入手したりして、その素性の良さは十分知っており、私的には馴染みの深いギターではありましたが、あまりにも……な、自身も含めたギタ・バカ・マニアックな過熱気味Fab Four呪縛。よって、ES-330と同型の本物の60年代初期物のEpiphone CasinoはOld Guitar市場では高騰を続け、今や入手困難アイテムに。そして、John Lennonメモリアル的Gibson本家Custom Shopの怒濤のReissue生産も、出来があまりよろしくなく、しかも本数造り過ぎのダブダブ市場。そしてまた、Epiphone廉価版Reissueの出来の中途半端さには閉口しておりました。
 そこへ登場、の今回のこの本家1959 ES-330 Reissue、やっと来たか、のドンズバ具合です。(とは言え、突っ込み入れる箇所がまったく皆無なわけではありませんが)

 と、言うことで、今回は入手後初インプレッション的に、軽く、サラッと突っ込み交えての解説&オーナーズ・レポ&インプレッションです。


ES-330の場合、音のキモはなんと言っても、P-90です。このPickupとのマッチング相性がこのギターの決め手なわけで。
 で、Gibsonさんもそこんところはよくご承知で、今回、Oldの平均的出力に近づけて、「約300ターン」コイルの巻き数をリダクションした特別版P-90を搭載だそうです。Pole-PieceはAged加工されています(あんまりイイ感じじゃないです)。
 しかし、うん、実際の音の方はイイ感じの出音でした。
 DC直流抵抗値は、また今後実測してみたいと思ってます。

 Pickup Coverは、いわゆる"Dog Ear"形状のBlack Plastic製で、リアには、一回り大きめサイズの、かさ上げ用下駄スペーサー付きなのがマニアック。これは、当時のオリジナルでも全ての個体に付いていたわけではなかった筈で、このスペーサー付きの個体はむしろ少なかったと思いますが、実質的にも嬉しい再現です。実際、このスペーサーがないと、結構、弦とのディスタンスがありますから(デフォルト・セッティングの場合)。

 Pickguardも5-Plyで、全エッジ斜め面取りのほぼオリジナルどうりの再現です。これらPickup coverとPickguardは軽くAged加工してあるのですが、Pickguardの方はちとやり過ぎかなー、な感じで、ささくれ立った古い木製テーブル・トップの上で滑らせて、テキトーにシャカシャカやって仕上げました的な荒技なAged加工具合でした。これを見て、「お、イイ雰囲気じゃん」てな感想を持たれる方は、あまりOld Guitarの現物を数多くは見てきておられない方でして、もし、このレベルのAged Pickguardが付いてる本物の本体があったとしたら、それはもう、"Player's Piece"は疎か、かなりのPoorコンディションの個体と言えるでしょう。つまり、Aged加工具合は本体のコンディションとはミスマッチで、あまりにもアンバランスなのです。早速、丁度いいAgedな感じに磨き戻しました。また、Pickguardを外してしまうひともいるかとは思いますが、付いたままですと、Pickup Coverに接触する部分がBodyの共振によりBuzz音を発生させます。フェルトかスポンジを接触面に挟むかの対策をしないと不快で弾いてられません。

Dot Position Markerは厚みの薄いバインディングに、Blackじゃない、お約束の亀さんSide Position Markerで、これも正調です。Custom Shopモデルでも一部のHistoric Les Paulでしか再現されていなかった、当時のオリジナルと同じこの"Thin Binding"。これ、私的には大きなポイントなんですよね。この僅かな違いで、見た目はかなり違いますから。ただし、エッジの加工は粗いです。

 Fretwireは、50年代Gibsonの細めのもので、60年代中期以降のものや、現在のモダン・タイプの"Jumbo Fret"に慣れたひとには、かなり細く感じるのではないでしょうか。立ッ端も高いです。エッジ処理は、立たせ気味のカットで、ここはOld Gibsonっぽくなく、また、あまり丁寧な職人仕事ではないです。

 そして、流石、今どきのGibsonの職人さん。Fretboardは見た目でもわかる、艶感ゼロの大雑把な粗いサーフェイス仕上げのサンディングでフィニッシュされていて、手触りザラザラ、Fretのエッジと表面も磨き残し放題、指チクチクの状態でした。なので、画像のとうり、Steel WoolとOrange Oilのコンディショナーで磨き上げて、オーナー自ら、本来の工場出荷状態の質感に仕上げしました(すいません、デフォルト状態の画像を取り忘れました)。ちなみに、わたしの個体では、Fretboardの色目はEbonyに近いRosewoodにしては濃い色合いでしたが、実は、これは強烈な染色処理が施された為の人工的Rosewood色です(Jacalandaに似せてるのかな)。何せ、磨いてたら、紫色の染料が染み出てくるわ、出てくるわ……なので、本来の使用Rosewood材の自然色は、もっと薄い茶色の筈です。

ABR-1 Bridgeも、50年代再現ですので、定石どうりのNickelで、Retainerなし&面取りなしスクリューのタイプを搭載。Aged加工は、控えめなくすませ程度です。
 これは、恐らく、Custom ShopのHistoric Les Paul用のものをそのまま流用でしょう。
  StudとThumb Wheelも同じく、たぶん、これもHistoric Les Paulからの流用品で、ES-330の場合、センター・ブロックがないことから、スタッドの傾きと沈み込み防止のために1枚づつ余分に付いてるのがオリジナル踏襲で、ココもきっちり押さえてました。








"Diamond Tailpiece"も、ちゃんとNickel。
  当然、オリジナルのKlusonのはもうありませんから、Replicaのですね。Long Typeのです。こちらのAged加工も控えめで、ディテールと質感共、イイ線いってて好感持てます。

 Control Knobsは、一見、レギュラー・モデル用のパーツかと思ってたのですが、プリント文字ではなく、彫り文字のHistoric Les Paul用のものでした(訂正)。しかし、断面のくびれ具合の再現性は低いですね。うーん、これはかなりイマイチっす。Les Paulマニアな方々の不満さが今回よくわかりました。
 PointerもAgedのHistoric用のものでした。

 Switch-Tipはアンバー色のもので、これもHistoric Les Paulからの流用品のよう。
 Switchは勿論、Switchcraft製の筈。

 Electronics系ですが、これも、Gibsonさんからの説明によりますと、ControllerのPotはCTS製をわざわざ使用(てことは、これまでのCustom Shop現行品モデルでは、CTS製のPotは使ってなかったんですね)。Knobを外して確認したところ、Brass ShaftのCTS Potでしたが、ローテイト・アクションは決して軽くはなく、硬めです。だいたい、最近のCTSは内部にワセリンみたいなグリースが入っていて、それがよろしくないのです。

 それにプラスして、Sprague "Bumble-Bee" ReplicaのCapを使用、だそうです(オリジナルどうりだと、値は0.022μF 400Vの筈)。f-Holeから覗いてみましたけど、確認できませーん。

そうそう、忘れてました、Headstock。

  Gibson LogoのInleyの感じは、散々Les Paulヲタクから指摘されまくって、Gibsonさんも鍛えられたのでしょう。イイ感じの再現性だと思います。

 Headstock全体のシェイプも大変よろしいですし、String Postの位置関係も完璧だと思います。しかし、やはり面取り加工の具合は、未だに再現性イマイチでエッジが鋭角過ぎ、エッジの黒塗りも甘く、つき板のHolly woodベニヤの断面が白く見え見え。これはエッジが摩耗してこないと、本来、新品時はこうはなっとらんぞ。ただし、Headstockサイド表面の"No buffing" - 磨き残しがやっと再現されてて、そこに関しては頬が緩みました。

 Truss Rod Coverも時代的に2-Plyのもので、これも、Historic Les Paul用パーツの流用ですね。これは再現性高いパーツです。

 Nutは、オリジナルに忠実にDelrin製でした。と、思いきや、ナイロン樹脂製でした(*訂正)。しかし、これまた、トップがヤスリで削った痕残りまくりの、どう見たって「仕上げ忘れてました」的超粗仕上げ状態のままでして、これも磨いて、本来の仕上がり状態にしました。オーナーがいじれる箇所を沢山残してくれるのは、嬉しい限りです。

 今回、一つだけ大いに不満で、ダメ出しなポイントは、Tuner Peg。これ、TonePros製Kluson Replicaで、Aged加工済みの「なんちゃってKluson」版なのですが、まー、ブッシングも含めて、これの見た目のダメさ加減は言うのもめんどくさいレベルなので、今回は深くは言及しません。が、その見た目のダルさはさて置いておいても、ともかく、巻き上げ感ゆるゆるトルクで、チューニングの微妙なところがまったく気持善く決まらず、ぜんぜん性能悪い粗悪Tunerです。どうも、わたしはナイロン・ブッシュの入ったTunerの緩いトルク感が好きになれません。
 Gibson Custom Shopでは、現行のハイ・クラスHistoric Les Paulにも同じものを搭載しているようですが、同じReplicaのなら、なんで、ルックスの再現性も、性能もToneProsのより上級なGotoh製にしないのでしょうかね?
 これではFine Tuningはどう足掻いてもムリなので、速攻、交換の段取りを決定し、本物Old Klusonを手配して発注済みです。


 オリジナル・ハードケースは、Gibsonお決まりのTKL/Boblen製のようで、Blackレザー、表にGibson Custom Shopの金ロゴ打ち。インナーはShroud付きのものです。
 最新のインテリアは、Dark Greyカラーに変わりましたね。この色目は、ある意味、Special感が薄れ、社外品の汎用品的な感じがしないでもなく、微妙なところかなー。細かいところでは、ポケットのプル・ハンドル・レザーの型押しロゴがTKLからGibsonになりました。
 そして、このShuroud生地、確かに見た目はゴージャス感ありますけども、これ、必要でしょうかね? これがあるお陰で、本体の出し入れ時は結構面倒なんですけども。
 そういうことよりもですね、Gibsonさん、同じ手を掛けるのなら、インテリアのプラッシュ生地を、50年代のPinkのか、60年代のYellowのか、オリジナルのLiftonのみたいに再現してくれるとか、そういうOld Gibsonマニアが喜んで頷くことをやって欲しいです。
 ただ、私的には、ハンドルがBoblenタイプの、レザーな"Banana-Handle"タイプのハンドルでなくて良かったです。(アレは傷んだら交換部品が無いし、最悪です)
 それと、ケースのボディ部はタイトでキツキツで、収めるときは、本体をケースに無理に押し込む、て感じでないと収まりません。 (Custom Shop '67 Flying Vのケースも同様のキツキツさ加減でした)
 このケースは、本来はES-335用のもので、恐らく、オリジナル当時のものも含めて、335用ケースの流用でして、Headstockの先に無駄な空間のマージンがあるのがその証拠です。ポケットがある関係で、330の場合、ネック・サポートのトップ側位置がネック強度的には結構ヤバイ位置に当るのが若干気になります。
 たぶん、オリジナル「ES-330専用ケース」というものはこの世に存在しない筈です。 

オーナー的プチまとめインプレッション:

 今回のES-330 Reissueモデルは、このBlondeヴァージョンと、Cherry Red(Bigsby付き)、Sunburstの3種。
 別にJohn Lennon追っかけということではなく(同じBlondeでも、あちらのはSatin Finishですが)、そもそもBlonde Finishのがオリジナルの個体は少なく(1959-60年の間だけ生産された)、300本あるかないか、というレアさだし、「もし、オリジンの330だったら、Blondeでしょ!」てことで、このNaturalを選択しました。
 でも、他2色のFinishの再現性も大変素晴らしく、Oldと比較しても見劣りしない、近年のCustom Shopモデルの仕上がりとしては上々の出来映えだと思います。特にSunburstのは、1本、1本、フィニッシュの仕上がり具合に態とバラつきを持たせているようで、自分好みの1本を選べるようにマニア心をくすぐりつつ、各販売代理店にも売り易い配慮をしているところは、小ずるいGibsonさんのCustom Shop販売戦略です。しかも、Sunbrstだけ価格設定が低めで、あの出来なら、3種中ではかなりお買い得感があります。
 ボディの外周形状は、恐らく、1959年当時から成型型枠が数種同時に存在し、それによって、オリジナルでもいくつかのヴァリエーションがありますが、いい感じの個体をScanしたな、と思います。ちなみに、f-Holeの位置も1959年製の位置と合っています。私的には、3D Scanしたとあって、ボディの独特のトップ&バックのアーチのカタチの再現性/仕上がりが気に入りました(これも当時の個体はバラつきがありますが)。この辺りは、これまでのEpiphone版Casinoが散々たる再現性だったので、やっと期待どうり、という感想です。しかし、そういう再現性も「ロットが進むとダル化する」のは定説で、「Reissueゲットするなら、初期ロットを確保すべし」のマニア定石どうり、速攻で初期ロット入荷分の1本を入手してしまいました。

 Finishは、VOS(Vintage Original Spec.)仕上げということで、本体はVintage Likeな風合いの若干艶の落ちた仕上げだったのですが、ポリッシュで本体を極ふつうに磨くと、何やら茶色の汚しFinish層の膜が落ちるわ、落ちるわ……。そうかー、恐らく、バフィング研磨の後に、わざわざ汚し用の"Coffee Wax"か何か(あくまで想像なので、勝手に命名)をスプレーしてあるんですねー。うーん……このひと手間、必要か?
 磨いてて思ったのですが、このモデルはMemphis Factoryでの製造らしいのですが、ラッカーがいつものGibson Custom Shopのより、なんとなく硬質な気がしました。Factoryによって使用の塗料の質が違うのかも知れませんね(これも、あくまで個人的考察です)。何れにせよ、ボディのラッカーは薄塗りではないですね。

 それと、付属品がC.O.A.と保証書だけで、いわゆる"Case Candy"の類が一切同梱されていませんでした。販売店のひとに確認したところ、「はっきりは記憶していませんが、1年くらい前から同梱されなくなっております」とのことでした。そうなのかー、なんか、以前には着いてたオマケ類が無くなると、ちとガッカリです、Gibson Japanさん。

 その他、Headstock裏にSerial #は打たれず、Body内部にInk Stampされる、"Factory Order Numbers"形式をオリジナルどうりに再現するなど、Historicalな拘りには徹底しており、総合的に、しかも辛口に評価して、かなりイケてる330だと思います。

 ということで、ザッとファースト・インプレッションでした。
 購入を検討されている方にも、何かのプラスになれば幸いです。
 まだ、お迎えしたて、なので、また今後続編をUpしたいと思います。

2012/01/23

Great ★★★★★Rating Guitar Tool

 過去記事で予告したレポでございます。

 我が愛器、Fender Custom Shop '60 StratのReplica Kluson Tuner Ferrule(Bushing)を、Old KlusonのFerruleに交換しようとしたところ、これがタイトにHeadstockに嵌まり込んでいた為に、抜き取ること叶わず、作業を中断……そこで、お助け便利Toolを見つけて発注。というところまでが前回の内容。
 で、注文しておいたそのToolがはるばるアメリカから到着いたしましたので、早速、作業再開です。

←これです。

 全長、僅か70mm足らずのサイズなのに、A4サイズのダンボールで到着でした。
 本体は真鍮製。スクリュー捩じ込み用のアレン・キーが付属で、これは、持ち手の部分のセンターにすっぽり収まるようになってます。

 このTool、使ってみて解るのですが、これ、すごーくよく出来ています。てか、よく考えられてます。

この、Banjo型のエルボーの先っちょのところが、このToolのキモな部分で、ここの断面が十字にカットされていまして、その中心に仕込まれたスクリューを捩じ込んでいくと、そのスクリューに押されて、この部分の外径が僅かながら大きくなる仕組みです。つまり、それによって、Ferrule状の内径にフィットして、タイトにホールディングする訳です。
 この先っぽの外面には滑り止め加工も施されており、アメリカ製にしては丁寧な加工です。


では、実際の使用画像です。

 このようにHeadstockの表面側から、Tuner Bushingのセンターの穴にToolの先を挿入します。スクリューを締め込んでいない状態では、なんの抵抗もなく、すんなり入ります。
 で、このように付属のアレン・キーでセンターのスクリューを適度に締め込みますと、Bushingの内径にピタピタにタイト・フィット。
 がしかし、これでToolごと引っ張れば抜けるのかと思いきや、そんなヤワじゃないんですよね、Fenderの場合。(Gibsonのだとユルユルなんだけども……)
 まー、この状態で、Toolごと引っ張れば抜けるような個体の場合は、それでよしとして、タイトに嵌まり込んでいる場合は、実は補助的に、6mm径の同じく真鍮製の丸棒(あるいは、木製でもよいです)を用意して、 Headstockの裏面側からそれを挿入し、プラスティック・ハンマーなどで、Toolをノック・オンします。

すると、ご覧のとおりでございます。
 見事、セイフティにBushingがToolに着いた状態で抜け出てくれました。

 センターのスクリューを緩めれば、フィッティング状態がリリースされ、BushingはToolから外せます。

 取り付けは、はい、お察しの通り、取り外しの逆の手順でよろしいです。

 Bushing装着の際は、ToolのHeadをプラスティック・ハンマーなどで上からノッキングして嵌め込みます。
 その場合のこともちゃんと考えてあって、その為にToolのHead部が大きくしてあるのですよ。 なるほど、ほんと、良ーく考えられてますよ、これ。
 Guitarと、そのパーツを傷めることなく、確実に作業を遂行できる素晴らしいToolだと思います。Fender Guitarをいじるには正に必需ですね。特にプロのリペアマンはMust Haveではないでしょうか。

 このToolには、あともう一つの別の使い道がありまして、この先っちょの径は、Phone Jackのサイズにも合致するのですな。
 で、頭のいいひとはもう想像ついたでしょうが、Output Jackの取り付けの際の本体位置固定にも有効なわけです。
 例えば、Hollow BodyなどのGuitarのOutput JackのNut締め付けのとき、どーしますかー? てことなんですよね。そんなとき、このToolでホールドしつつ、レンチで確実にナットの締め付けが出来るんですね。これさえあれば、Output Jackが固定出来ずにクルクル回転して、内部で配線グチャグチャ、果ては断線……てなことにはならないわけです。
 無論、Output Jackの取り付けToolとしては、Guitar以外にも、Pedal類やAmpなどでも重宝します。
 返す返すも、二度美味しい、本当によー出来たToolです。

 Guitar用Special Toolてのは、他にも幾つかありますが、これほど「これは凄い! ありがたい!」と思ったブツは、これまで他になかったですねー。
 文句なしに★★★★★Guitar Toolです!

2012/01/18

Old Kluson Tuner Refurbishing Tips

 Old Kluson Tunerを簡単に機能回復レストアする方法を紹介します。

 オリジナルの、いわゆる"Closed Case"タイプのOld Kluson場合、ギヤ躍動部にグリースを塗布した後、ケースを機械でかしめてありますので、腕に覚えのある人は別にして、パーツをバラしてフル・レストアするのは素人には困難です。ですので、そのままの状態で、シャフト/ギヤ/ポストの不具合を解消して、より良い状態にする簡単な方法を紹介したいと思います。

 Old Klusonチューナーのギヤ・ケース内部封入グリースは、パラフィン・ベースのチープなもので、実は、このグリースの劣化/固着によって、機能低下と操作感が悪くなってしまいます。パラフィン系のグリースは経年劣化が早く、空気乾燥して比較的早期に固形化してしまい、その機能を失ってしまうのです。そして、その固形化した劣化グリースがギヤ部に不着することによって、それがギヤの勘合の障害となり、不具合を生じさせてしまいます。
 また、グリースの充填管理を怠り、もう何十年もそのまま使用経過したOld Klusonチューナーの場合、ギヤの勘合躍動部は偏摩耗して、最早使用出来ない状態にまでなってしまう個体も多いですが、そこまでの症状を来していない、比較的優良な個体の場合において、有効なTipsです。
*これは、ギヤ・ケース内部に樹脂ブッシュを使用していないOld Kluson向けTipsですので、最新型のレプリカKlusonにおいては非推奨ですので、よろしく

 用意するものは、灯油(ホワイト・ガソリンでもよいです)、充填用グリース、チューナーが収まる容器(出来ればステンレス製で、蓋があるもの)、その他、ウエス、ゴム手袋などだけです。
 灯油を使用しますので、作業中はくれぐれも換気に注意、火気厳禁です。

 先ず、容器にノブが上になるようにチューナーを収め、そこに灯油を注入し、浸します。

Tuners dip it into Kerosene(or White Gasoline)
灯油の量は、チューナーのケース部が完全に浸るくらいまで。
 メタル・ノブの場合、ノブ諸共浸かってしまっても問題ありませんが、プラスティック・ノブの場合は、化学反応で変形を来す恐れがありますので、ノブは浸さないようにします。(あるいは、完全にマスキングしておきます)

 しばらく浸すと、灯油が古くなったグリース、及び、金属に浸透しますので、時々、個別にチューナーを取り出して、シャフトを回転させて、内部のギヤ全体にこびり付いた汚れを掻き出させます。
 すると、ケースの隙間から、溶け出たグリースや、金属の粉、錆、その他の糟などが汚れとなって、ケースの隙間からポタポタ流れ出てくるのがわかります。
 何度か同じ作業を繰り返して、汚れが出てこなくなったようなら、後は再び灯油に浸したまま蓋をして、一晩寝かせます。(蓋をするのは、灯油を蒸発させないようにするのと、勿論、事故防止の為です)

 一晩放置した後、再度、シャフトを回して、内部の汚れが出切ったかどうかを確認します。
 このとき、既に手に感じるシャフトの動きが非常に軽くなっていることに気づく筈です。
 もう汚れがでなければ、チューナーを容器から取り出して、自然乾燥させます。
A dirt bleeds from inside of Tuners leave overnight

 これが残った灯油です。
 濁ってかなり汚れが出ているので、ギヤ・ケース内部を洗浄できたことがわかると思います。

 Old Klusonに使用されているグリースが固形化したものは、バターが古くなって固まったみたいな、黄土色状のものです。これが、案外しつこくギヤに不着しています。グリース注油穴からそのような固まりが見えるようでしたら、それこそが元凶なので、なんとしてでも取り除いておくべきです。
 もし、灯油ですべての汚れが落とせなかった場合、ホワイト・ガソリンで試すと、灯油よりも浸透性が高いので、パラフィン質の固形物は落ち易いです。が、揮発性が灯油よりも高く、油分が低いので、シャフトを回し難くく、扱い辛いです。
 また、アセトン、シンナー等の有機溶剤系でもパラフィン落としに効果があります。
 汚れの質、程度、状態により使い分けるとよいと思います。

Rinsing it and well drying
チューナーが十分に乾燥しましたらば、ウエスでよく拭き取って、ケースのグリース注入穴からグリースを少量充填します。
 この注入量が多過ぎると、ケースの隙間から大量に染み出してきてしまい、ギターを汚してしまいますので、必要最小限、ギヤ部に馴染む量に留めます。足りなかったら、後で足せます。
  シャフトを回転させながら、ギヤ勘合部全体に行き渡ればO.K.です。"String Winder"があれば、時間短縮です。(これを実装したギターに使用すると塗装を傷めるので、普段は絶対に使いませんが)
 ギヤ・ケースの内部の全体像は目視出来ませんので、目安としては、十分にシャフトを回転させて馴染ませた状態で、シャフトの両端がケースから出たところの隙間の部分から、グリースが若干染み出す程度が理想かと思います。
 ケースの隙間のいたるところからグリースが染み出してしまうと、明らかに充填量が多過ぎです。

Finally, inject new good grease.
I use and recommend "Copper Paste" compound type.
使用グリースについてですが、パラフィン・ベースのものは、前述の理由から、使用を避けたいところです。

 KOJIの場合、自動車やバイクのレストアも趣味にしていることから、その経験上、鉱物系で、銅粉含有のものを愛用しています。
 これは、主に自動車等の金属部品組み立て時に使用するもので、金属同士が擦れ合う部分の摩耗減少に大変優れており、銅粉が多く含まれているので金属に馴染みが良く、パラフィン系のように早期固形劣化することがありません。また、例え固形化しても、表面に薄い銅の皮膜を形成するので、滑走効果は持続しますし、また、防錆効果も高いものです。
 もうひとつ上等なもので、モリブデン・グリースというのもありますが、Klusonのチューナーにはあまりにもオーバー・スペックかと思われます。
 これらの鉱物系グリースは、自動車用部品を取り扱っているお店になら、在庫していないところはまずありませんし、高価なものではありません。手軽なチューブ・タイプもあります。

 鉱物系以外にも、シリコンですとか、PTFEですとか、グリースは他にも種類がありますので、拘りをもって試されるとよいとも思いますが、金属の摩耗防止/滑走/防腐、この三拍子に優れたものは、私的には鉱物系がベストと思います。
 メーカーでは、鉱物系グリースは使用していませんが、これは恐らく、その色の問題なのだと思うのです。鉱物系のグリースは、黒灰色をしています。外に染み出したときの見た目や汚れに繋がるものは使用を避けたいのだと思われます。また、パラフィン系グリースはコスト安なのです。早い話しが、安物です。

 さぁ、これだけのことで、チューナーのノブが軽々と回り、動きが驚く程スムースになったことがよくわかると思います。
 実際に装着して、弦を張ってみますと、ノン・スリップでストレスのない、Kluson本来の軽妙なトルク感が蘇ったことに気づく筈です。
 これによって、今後しばらくは(少なくとも10年くらい)メンテナンス・フリーで使用することが出来ましょう。(ただ、グリースの染み出しは気をつけて管理しておいた方が良いです)

 もし、チューナーのポスト、及び、シャフトに重度のガタつきがあったり(本来、少々のガタは新品時からあるので、良しとして)した場合、根本的に金属部の劣化、あるいは、ケースの取り付け不良かも知れません。そういった場合については、別な方法での処置が必要ですが、そのような状態にまで到っていない場合については、今回紹介したTipsで、大方のOld Klusonチューナーの機能と操作感を大幅に回復させることが出来ると思います。

 あとは、金属磨きで外側を磨けば、Refurbishingは完璧です。

2012/01/08

2009 Rickenbacker RM1999 (4001S) Bass Re-Issue

 現在、所有のBass Guitarは、これです。
Rose-Morris #1999 Re-Issue was Japan Only Limited Edition of 60

 日本の代理店の創業60周年を記念した限定オーダー・モデルで、60本のみ生産され、代理店のアニバーサリー・モデルとして発売されたものです。
 あのSir. Paul McCartney所有モデルの原型だった、当時の英国代理店Rose-Morris輸出仕様の4001 Bassで、当時、Rose-Morrisでは、別なModel #を当てていたことから、#1999となっています。

Non-Reverse "Right" Headstock
つまりは、C-SeriesとしてRe-Issue発売されていた4001C64 Bassの"Non-Reverse" Headstock版。

 本物のOldは、そもそも生産数激少で、良いコンディションの個体はまず見つかりませんし、そうでなくとも、今現在の価値ではとんでもない高額になっちゃってますから、ムリ。

 この正しいカタチの4001を待っていたのですよねー。正に、他には無い、惚れ惚れするオリジナル・デザインのヘッド・シェイプです。これを逆さまにするなんて、とんでもない話しです。



"Fire Glo" Finish
元Bass Guitaristでもあるので、Bassにも拘りを持ってますし、なんとかがんばって、滑り込みで新品をゲットしたものです。

 これも、入手後、細部に拘り、若干手を入れているのですが、それはまた今後、詳しく紹介しようと思っています。

2012/01/06

Fender - Kluson Peg Head Bushing



Fender-Kluson '60s Original Tuner Bushings(Ferrules)

 見る人が見れば、一目でわかる、Fenderの1960年代のKluson用ブッシング(本物)が届きました。
 これ、Tuner本体よりも、むしろ入手が困難で……今回は首尾よく見つけられましたが。
 コンディションも、自然にちょうど良い具合のAged感で、購入価格も破格のベスト・プライスで、新春早々、ラッキーでした。

 比較しますと、こうです。

Original Fender-Kluson Bushing v/s Replica Bushings(Installed)

 現状、愛器のCustom Shop '60 Stratに取り付けられているReplicaのBushingは、Relic加工を施してある為、若干黄ばんで見えて、その点の違いの方が目立つかも知れませんが、こうして大映しにすると、切削加工の違いがよくわかると思います。メッキの質感も違いますし、オリジナルKlusonのは、表面に木の年輪のような細かな筋状の切削痕が残っていますよね。一方、Replicaの方は、近代の精密で精度の高い工作機械で製造されているので、そのような荒削りなカッティングの痕跡は表面には残っておらず、 スムースな表面に仕上がっています。(逆に、現在では大量生産においては、オリジナルのような再現加工は、逆に難しいと思われます)
 そう、「荒削り」 という言葉がピッタリかも知れません。
 Klusonは、第二次大戦前から創業していたメーカーですし、これらのパーツも、1950-60年代当時の超アナログな工作機械で製造されていたわけです。なので、製品の仕上がりにも、そういった工作機械を使用した、当時の工業製品の製造行程を映し出しているのです。故に、現代的な製品加工と比較すれば荒削りな仕上がりに見えてしまう。そして、それが、現在では「風合い」となっておるのですよね。

 形状についても、よーく見ると、微妙に違うのがおわかりでしょうか? 一段目の厚みが、Replicaのは若干薄いように見えます。二段めのトップ部分(最上部)に、Replicaのは僅かに平面な部分がありますが、オリジナルのは、エッジまでカーブしたままです。オリジナルの場合、ロットによる個体のバラつきも見られるところですが、全体的によく観察すると、オリジナルは、 やはりオリジナル然としておりますです。

 早速、取り替えて、TunerもBushingも、ぜーんぶオリジナルKlusonに! と思ったのですが、現状取り付けられているReplicaのBushingが結構タイトにはまり込んでおりまして、簡単にポロッと取れるだろーという思惑は誤算でした。(だって、Gibsonの場合は、ココが大抵ルーズなので……)
 ここは「急いてはことを為損じる」に習いまして、一旦、作業を中断。

 本当は、交換作業前に、取り外した単体同士を並べて撮影したものを比較……という企画だったのですれどね……各部サイズも計測比較して、とか考えていたのですが、また、次回に先送り、てことで。

P.S. 無難にBushingを抜き取れるToolはないものか……と探しましたところ、アメリカで大変良さげな物が製造販売されているのを見つけました。既に発注済みなので、そのToolが届き次第、Toolのレポも交えて、追記をUpしたいと思っています。