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2012/04/10

2007 Fender Custom Shop Rosewood Telecaster Limited Release


 ずっと欲しかったTelecaster。でも、何故かこれまで縁がなく、やっとのことでのお迎えです。しかも、あのRosewoodの1本!

 Telecasterとなると、私的にはMaple Fret Boardのは嫌いなので、やはり、Early '60s仕様のSlab Rose Fret Boardのか、このRosewoodのか、どちらかのFender Custom Shop製と決めてました。でも、何故かどちらも生産/市場流通量が極端に少ないのですよね。しかも、どっちもお値段はカワイクナイ、と。
 それでも諦めず、ずっと探してはいたのですが、個人的に「コレだ!」と思えるものは中々見つかりませんでした。その間に、あのES-330に手を出したりしたのですが、そういうときに限って、こうして良い品が被って見つかるものなのです。「ヤレヤレ……」てな感じです。しかし、今回見つけたRosewoodのは、コンディションも面構えも、自分的には完璧に近かったので、スルーするのはあまりにも悔し過ぎ、後先考えず、気合いでゲットンしてしまいました。

 Bodyはセンター合わせの"Two Pieces"ですが(厳密にはFour Piecesか?)、よくよく見ないと、センターの継ぎ目がまったくわかりません。グレート!
 
 このRosewood Telecasterは、言わずと知れた、元Fab Fourのお一人、故George先輩が使用したPrototypeのドンズバReplicaモデルであり、Telecasterの中でも世界的に人気の高いモデルですが、そこらへんのGeorge先輩絡みの詳しい解説と蘊蓄は、他のBeatle Fanaticな方々に譲るとしますです。
 個人的には、George先輩への憧れ、というよりも、シンプルだけど、美味しいとこはガッツリ持って行く、あのSteve Cropper師匠のTelecaster Soundがずっと欲しかったのです。Staxのサウンドの大ファンなもので。

 さて、これは、本家、Fender Custom Shop製の2007年モデルで、いわゆる"Team Built"のLimited Releaseものの1本。これ以降、単発のMaster Builtものを除いて、Custom Shopでは現在までこのモデルの再発はなく、一応、現行品としてもレアなモデルということになります。
 この"Limited Release"というのは、"Limited Edition"とはまた違う意味合いのものだそうで、Limited Editionが、予め決められた本数限定生産なのに対して、Limited Releaseというのは、「予め決められた期間内に受注された本数分のみ生産する」ということらしいです(微妙……)。なので、生産された本数は公表されてませんから、不明ですね。2007年の年末までの冬期限定受注だったらしいです。
 「貴少なローズウッド材を贅沢に使用した……」と、よく言われますが、実際、2007年Versionは何本くらい作られたのでしょう? もし、Serial #がこのモデルだけに通しの連番だとしたら、調べた限りでは、裕に300本は在ることになりますが……。

 OHSCは、Custom Shop用の"White Tolex"カヴァーリングにRedプラッシュ・インテリアのもので、Custom Shop "Limited Release"刺繍入りの豪華なもの。いつものG & G Quality Case Co.製です。

 この"White Tolex"タイプのケースは、60年代初期仕様の、レアなヴァージョンを再現したもので、現行のCustom Shop Modelでも、一部の上級ものにしか付属されないみたいで、最も数少ないTypeかも知れませんです。
 ですけれど、時代考証的には、本当はRosewood Telecasterの時代は、本来、Black Tolexタイプが正解です(そのタイプが付属していた個体もあったみたいですが)。
 どっちかと言うと、このRosewoodの色目的には、Black TolexのHardshell Caseの方が似合う気がします。


 この画像はちょっと埃っぽいですけど、Headstockもイイ感じです。
 Early TypeのSilver Letteringで、いわゆる"Spaghetti" Logo。Logo Decalの貼り付け位置は、決まってるようで決まってないのか、1本、1本、バラバラですね。まぁ、木目と同じく、個性が加味されて、オーナー的には良いです。なにがなんでも「George先輩と同じじゃなきゃヤ!」なひとは、ドンズバな位置に貼り換えましょう。
 Tunerは、Fender "F" Tuner Replica。

 OriginalのRosewood Telecasterは、PrototypeがGeorgeに渡った後に製品化された本家のVersionが極少量であった為に、需要と供給のアンバランスで、その後、偽物が多く作られており(日本製の偽物が最も多いかも?)、世の中に存在する割合的には本物よりも偽物の方が圧倒的に多い、特殊なモデルかも知れません。

 George先輩のはSolid Bodyだったと言われており、大変重いという話しで、その後、当時、少量製品化かされたVersionでは、Body内部をくり抜いたSemi-Hollow構造となっていました(恐らくは軽量化の為)。なので、このCustom Shop製のBodyについては、厳密にはGeorge仕様ドンズバではなく、製品化Version踏襲のSemi-Hollowなっています。Solid Bodyの真性Versionは、正式には未だにReissueされてないのではないでしょうか?
 しかし、Neckは、George先輩のと同じく、BackにMapleのストライプの無い、2 Pieceの貼りFret Board仕様で、これについては、製品化されたVersionでは、1 Piece化されておりました。ちょっとややこしいです。

 ちなみに、日本ではこのモデルのことを「オール・ローズウッド」とよく言われてますけれども、海外での呼称は「オール」は着かず、"Rosewood Telecaster"です。たぶん、日本で最初に専門雑誌で紹介されたときに「オール」が着いてたので、それがその後、呼称として定着したんでしょうね、きっと。
 一端、Bodyをスライスして内側をくり抜き、薄いMapleのVeneerを挟んで接着しているのが、この画像でわかると思います(Solidのタイプにも同様のMaple Vennerが接着されています)。要するに、これは「最中」構造。
 この表裏二枚接着構造は、経年変化による割れを防止する為であるとか、いろいろ言われておりますが、単純に、効率よく木材を使用せんが為ではないかと私的には考察します。RickenbackerのSemi-Hollowタイプがこれと似た構造ですが(というか、Rickenbackerの方がこの構造の本家筋か?)、あちらの方が木材は大胆、且つ、贅沢な使い方をしています(Mapleですけどね)。

 木取りは、板目のものもありますが、ターゲット的には、できるだけ木目の揃った、ドン柾目の個体に執着して探してました。それは、見た目もさることながら、私的には、音質的にも柾目がベストと考えてたからです。何故なら、それは、アコースティックのTone Woodが必ず柾目なことでだいたい説明がつきます。でも、美しい柾目の個体は、かなり贅沢な木取りでもあることから、割合的には非常に少ないのです。
 また、なるべく濃い色目のものが良い、と。まぁ、それはサウンドとはあまり無関係ですが。この個体は、茶色というよりも、黒っぽい大変ダークな色目の個体だったので凄い満足です。
 Finishは艶消しのサテン仕上げで、これもGeorge師匠の個体踏襲。社長室の執務デスクか、或いは、役員室の応接セットの質感を彷彿とさせる、大人な高級家具調度品的ゴージャス感で、グロス・フィニッシュよりも好みです。
 塗料は、当時と同じくPoly Urethanですが、かなり薄塗りのようです。
 通常のGloss Finishの場合、塗り上がった状態から、Polishingの行程を経てピカピカの艶仕上げで完成となるのですが、このSatin Finishの場合は、Steel Woolで擦っての「研磨仕上げ」なわけですね。ですので、磨けば、Gloss Finishにはなります。
 しかし、このRosewood Teleは、歴代Telecaster Model中、最も美しいモデルではないでしょうか? 当時の新品時の価格も、歴代で最も高価なモデルでもあったでしょうが。

 オリジナルはBrazilian Rosewoodと思っていたのですが、Indian Rosewoodだったそうです。Brazilian Rosewood(通称、Jacaranda)は、Rosewoodの中でも最も高級な材で、現在ではワシントン条約で伐採が厳しく制限されており、取り引きにも制約があり、今では大変貴重で高価な木材となってしまいました。ギター用のRosewood材の種類としては、今でも最高級の材とされております。
 現行モデルの殆どが、オルタナティブなIndian Rosewoodを使用しており、これもその例に漏れませんが、厳選された材を使用しているように思います。
 そして、このRosewood材は、比較的密度が高い木材なので、ギターによく使用される他の木材よりも圧倒的に重い質量なのですよね。
 以前、Fender MIJの個体を楽器店で見つけたので、試奏してみようと手にしたことがあるのですが、持ち上げたその瞬間に、「これはダンベルか!」と言いたくなるくらい、ググッと腕が下がってしまう程の重さで(大袈裟な話しでなく)、座って抱えても膝に食い込んで痛くて、「これはとてもじゃないけど、ムリ!」と、Plug-Inすらせずに即座に店員さんに返した経験がありました。MIJのVersionは厚めのPoly Finishだったでしょうし、それもその重さの一要因だったかも知れません。木材の個体差による重量差も激しいようなので、Solid Bodyであっても、中には軽量な個体もあるにはあるらしいのですが、前途のように、George先輩のはかなりの重量級らしいです。
 で、これも、実際に手に取るまでは、Semi-Hollowとは言え、やっぱしそこそこ重いのだろな……と覚悟してたのですが、か、軽い! 予想していたよりも、拍子抜けの軽さでした(恐らく、3kg台後半あたりか)。これなら、所有のStratとあんまし変わりません。ストラップ掛けでもまったく問題なく使えます。これはよかった!

 軽く試奏してみましたが、やはり、Semi-HollowなのでBodyの生鳴りは上々、サスティーンも素晴らしいです。

 命名、Chocolat。
 これから、徐々にNeckの調整やら、Fine Tuningに取り掛かることにします。

 今回は到着直後なので、ざっとこれくらいで。

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