Search

2012/06/07

Difference In Fender "F" Tuner


 所有Guitar中、最も無敵な我がFender Custom Shop Rosewood Telecasterですが、更なる無敵化を施しました。
 それは、Tuner(Machine Head)です。

Fender Custom Shop Original Fitted F Tuner
Custom Shopのデフォルトで装着されていたのは、ドイツScharler製のFender "F Tuner"で、日本では「F-Key」と呼ばれているものです。
 本来、Rosewood Telecasterオリジナルの時期(68-70年頃)には、まだScharler製のものは製造されていなかったので、時代考証的には明らかにミスマッチなのですが、現在、Fender製のオリジナルF Tunerは製造されていませんから、このCustom SHopの再現性は致し方ないところではあります。

 ざっと説明しますと、1967年頃から、Fender社では、それまで使用していたKluson製Tunerに替えて、自社オリジナルのTunerを開発して、すべてのモデルに換装することになります。このF TunerはFenderの頭文字の"F"を型押ししたギヤ・カバーが外観の特徴で、また、TunerのButton(Knob)の形状が8角形なので、見た目でそれとわかります。以降、FenderのGuitarのTunerは1970年代の後半まで、このタイプが使用されました。
 しかし、外観上は同じなのですが、大別して、初期(Fenderオリジナル製)、後期(ドイツScharler製)で細部に違いがあります。

 今回、大変貴重な最初期のF TunerのSetを入手して交換しましたので、違いを紹介したいと思います。

 先ず、現行のCustom Shopで使用されている後期、Scharler製ですが、右の画像のように、それまでのKlusonよりもBushingの外径が若干大きいのがわかるかと思います。これは、下穴サイズに違いがあり、KlusonのBushingよりも大きな径の下穴を必要とするものです。しかし、TunerのPostの径は逆に僅かに細いので、このBushingはKlusonのTunerとの互換が全くありません。また、メッキの仕上げがChromeです。

 Headstock正面側から見た場合、Tuner全てがChromeで統一されているところが、Scharler製F Tunerのポイントなのですが、この仕様は1976年以降のルックスであり、[オリジナルのRosewood Telecasterでは、本来は有り得ない状態]ということになります。

Tuner Changed To Early Type Original F Tuner
そして、こちらの画像が、最初期のFender Original F Tunerに交換後の画像。

 ちょっと撮影の角度が違ってしまったので、比較感が微妙かも知れませんが、雰囲気の違いは感じ取っていただけるかと思います。

 この最初期VersionのF TunerのBushingは、Kluson期の物と全く同一で、Nickelメッキ仕上げ。そして、TunerのPost径もKlusonと同一規格なのです。ですので、正面から見た場合のTuner Post回りの雰囲気はKluson期のHeadstockと比較してもあまり違和感がありません。後期Scharler製の、あのChromeメッキのキラキラした派手さ感が抑えられたオーセンティックで控えめなルックスです。ただし、Postの長さはKlusonよりも長いです。これは、当時(1960年代後期)に新たに変更されたHeadstockの厚みに合わせたものです。
 しかし、Tuner Buttonと、そのShaftはChrome仕上げであるところが、初期F Tunerを正面側から見た場合の特徴ですね。そして、これが、正調オリジナルRosewood Telecasterの製造時期の仕様となります。うん、かなりリアルに本物っぽくなりました。

 ちなみに、このKlusonタイプのBushingの交換は、Scharler用に空けられた下穴のままですと、穴が大き過ぎて、そのままではゴソゴソでBushingが留りません。Conversion Bushingがアフターマーケット・パーツとして手に入るので、それを使うのも手ですが、わたしはオリジナルのBushingが持つディテールと風合いに拘って、セロテープを何周かBushingの外周に巻き付けて下穴径サイズに合わせて調節して対処しました。リーズナブルです。

 Headstock正面から見た違いはざっとこんな感じなのですが、このF Tuner、そのVersionによって細部に至るまで違いがあります。

では、Tuner単体で比較してみましょう。

Left: Early Type Original
Right: Late Type Scarler Made
左:最初期Version、右:後期Scharler Versionです。

 先ず、画像の上方から見て、Buttonですが、まったく同じ8角形かと思いきや、実は大きさと厚みがまったく違うんです。実際に指で摘んでみると、更にハッキリわかる違いで、最初期Versionのは、サイズ的にKlusonのButtonに近く、持ち替えても感触的にあまり違和感がないのですが、Scharlerのは、即座に「デカッ!」と感じてしまいます。実際、一回りデカイのです。また、形状もShapeが鋭角でカクカクしており、タッチ感もゴツゴツした感じです。
 そして、Shaftの径もまったく違うことが画像でわかるかと思います。Scharlerのはかなり太いです。見た目の印象として、最初期Versionは華奢に見えます。FinishはどちらもChromeです。

 次に、GearのCasing内部ですが、設計自体が一新されているのがわかりますよね。最初期Versionはグリースを詰めたInner Cover(Nickel On Steel)が嵌め込まれているだけなのに対して、Scharler製では、Casting成型によるHousingになっており、また、Postのガタつき防止の為に根元に大径下穴サイズに合わせたフランジが張り出しています。Housingには"Made In W. Germany"と刻まれています。

 String Postは、最初期VersionがNickel On Brass、Scharler VersionがChrome On Brass。直径の僅かな違いは先に述べましたが、長さもまた微妙に違います。
 また、最初期VersionのPostの先端中央にはString Guide Holeをドリリングする為のRound Cutがあり、"Double Line"期のKlusonのPostの形状にやや似ていますが、Scherller Versionにはそれがありません。切り込み幅がScharlerは細いので、Heavy GaugeのLow-E Stingだと弦をPostに通すのが厳しいと思われます。
Bushingの大きさと形状の違いもご覧のとおり。Tunerの取り付けScrewにまで違いがあります。最初期Version: Nickel、Scharler Version: Uni Chrome。

 裏側から見た形状は大差なく同じ、と思いきや、こうして比較すると大分違いがあることがわかります(画像の並びは同じです)。
Left: Early Type Original
Right: Late Type Scarler Made
最初期VersinのOuter Caseの形状は、曲面が緩やかなカーブの曲げプレスですが、Scharler Versionのはかなり鋭角な角張った形状です。同じChromeメッキ仕上げですが、それぞれでプレスの金型が全く別物であることがわかります。こうして並べて比較するとよくわかるのですが、個別に見た場合、案外、即座には違いが見分けられないものです。
 しかし、こちら側から見たときの前期/後期型の判別法としては、この画像でわかるように、[ButtonのShaftがCaseから突き抜けているかどうか]を見れば即座に判別が出来ます。
 また、上の画像では細かな比較はできませんが、実は特徴的なプレート部のZig Zag斜めCut形状の角度も微妙に違うので、新旧を混在取り付けしようとすると、配置がズレます。

 と、大きく、前期/後期のVersion違い比較をしてみましたが、前期でも2種類ありまして、紹介したものの後、71年頃から採用された2nd. Versionは、ButtonのShaftがChromeではなく、Nickelで、内部のGearがBrassではありません。
 後期Scharler Versionにも少なくと2種あり、それは、String PostのLong/Shortの長さの違いです。今回紹介したものはShort Versionになります。

 よく、雑誌やBlogなどで専門家諸氏が「Scharler Versionの方が信頼性が高い」と発言されており、それを盲信している方が多いように思われますが、わたしはまったくそうは思いません。確かに、Scharler製のは、設計と造り自体は良いので、機械的なガタつき/ラフさは少ないのですが、実際の操作感は、ダイレクト感に欠け、滑りがあり、リニア感がなく、あまりよろしくありません。
 一方、逆に、他ではあまり評判の良くないOriginal F Tunerですが、実はそれは誤った認識によるものなのです。先ほど紹介したように、このOriginalの前期Versionには2 Versionあり、最初期VersionのGearはBrass製で、かなり操作感がスムースで大変良く、遊びも狂いも少ない良いTunerなのです。
 ところが、2nd. Versionでは、何故かGearがBrassではなくなり、明らかに粗い造りのものになってしまうのです。恐らくは、この2nd. Versionでの評価が一人歩きしてしまったのではないでしょうか? と言うのも、この前期型のVersion違いがあることすら、あまり知られていないからです。

 初期型2nd. VersionのButton形状は、Scharler Versionとほぼ同じで、つまり、小さめのButton形状は、Originalの最初期型にのみに見られる特徴です。

 Fender F Tuner Variationsまとめ:
Type 1: 1967 - 1971 Original Early 1st. Version. (Small string post, Chrome Shaft + Brass Gear, Small button) With Kluson type bushings.
Type 2: 1971 - 1976 Original Early 2nd. Version. (Small string post, Nickel Shaft, Large button) With Kluson type bushings.
Type 3 & 4: 1976 - : Scharler Made. (Large string post and long or Short String Post, Large button) With original "Large" bushings.

 このF Tunerは、Klusonと違って、簡単に全てのパーツを分解することが出来ますので、きっちり正しく調整してやれば、精度を保つことが可能です。

2 件のコメント:

  1. お久ぶりです、
    久々に見たら更新が凄いですね、
    ところで・・・・
    バンドメンバー、ポール・ジョン・私ジョージが
    観客で出ます!
    襟無スーツのおっさん三馬鹿トリオが目印です、
    直筆サイン入りTEXANも持参になります。

    BS1スペシャル  エルムンド
    「ビートルズを1000倍楽しもう」

    BS1 10月5日(金)午後11:00~午前0:49(※5日深夜)

    http://www.nhk.or.jp/bs/special

    返信削除
    返信
    1. 返信遅くなってすいません。
      告知歓迎しますので、またどうぞー。

      削除