Search

2019/01/16

Paint it like Ric Fireglo

 前回、Vintage Rickenbacker(1960年代)の塗装はニトロセルロース・ラッカーではないと申しました。これは、製造元の社長も公言されてることであり、事実です。
 なので、「オリジナルどおりにリペア」ならば、オリジナルのタイプの塗料を使用するのは大原則でしょうし、風合いも統一できません。まあ、リペアの基本中の基本でしょう。ただし、オーナーの意向で「異なった種類の塗料で全塗装し直したい」というようなオーナー自身が納得の意向を受けての場合は例外ですが。

 では、どのタイプの塗料が使用されているのか?
 単刀直入に言うと、「ワニス」です。驚かれる方が多いと思います。ワニスは日本では呼称が転訛して「ニス」と呼ばれている塗料で、「安物家具に使われている塗料」の代名詞みたいになってます。確かに、乾燥が早いので最も扱い易く、即ち、製造者側から見た場合、製造の手間を省け、コストを抑えられるメリットが最も高い塗料なんですね。
 現在、楽器用塗料は、油性だとアクリル・ラッカー、アクリル・ウレタン・ラッカー、ニトロセルロース・ラッカー、油性二液性ですと、ポリ・ウレタン、ポリ・エステル、一部のクラッシック楽器にはアルコールで溶かすシェラック、という感じでしょうか。
 楽器業界では二液性ポリ系が安物仕上げの代名詞になってますよね——最も厚塗り塗膜ですし、それによって自然な「木の鳴り」をスポイルしているとの悪評価がある(事実は別として)。それでも、「ニス仕上げ」てのはまず無いですよね。でもでも、楽器業界でも異端児的メーカーであるRickenbackerは、ワニス仕上げの代表ギターなんです!
 ただ、ワニスと言っても、油性、水性、また、その樹脂の種類によって数種類あります。アクリルやレジン系、ウレタン、アルキド系などです。

 元Rickenbacker社で製造に従事していた人たちや社長の証言に依りますと、混合されている樹脂はウレタンだそうです。ただし、その配合は塗料メーカーによって微妙に異なり、一定ではないそうです。二液性ではない一液性なので、ウレタン樹脂でも仕上がり塗膜を薄く仕上げられるわけです。実際に剥離してみると分かるんですが、Rickenbackerの塗膜って、分厚そうに見えて薄いです(Gibsonのラッカーの方がよっぽど厚いですよ、本当に)。
 ただし、ワニスの場合、クリアーの透明度を保つことは難しく、どうしても黄ばむ傾向が高いんですよね。なので、白や薄色だと直ぐに黄色く変色してしまう。なので、白や、他には黒も塗膜を厚塗りする必要があるため、それらのカラーに限っては別のタイプの塗料が使われているとのこと。なるほど、それで特別設定のカラーの場合は価格が割高なんですね。

 ということで、Rickenbackerオーナーならば、「ラッカー・フィニッシュじゃねえぜ!」と胸を張って自慢しましょう。


Making A New Pickguard

話変わります。

 上の画像はわたしのRM 1999で、Pickguardの型紙を作り、それを現物に当てて最終チェック中のショットです。

 このPickguardのアウトラインとコントローラーの位置関係は御大、PMCさん所有の個体(DA23)の画像から忠実にトレースした後、わたしのRM 1999にジャストになるように僅かに微調整を加えました。元々付属していたRe-issueオリジナルPickguardのアウトラインと比較すると、コントローラー部分の周囲の丸みが大分太め(大きめ)になる感じです。コントローラーとスイッチの位置関係はパッと見には違いが中々わからないのですが、型紙を重ね合わすと、わーお、ぜんぜん違う!(笑)これもDA23のPickguardと同じ位置関係に修正。ふむ、それだけでも本物のVintageっぽくなるから不思議です。

 そもそも、Rickenbackerのモデルは同じモデルでも形状のアウトラインそのものが年式等で微妙に違うんですよね。それに、職人さん一人一人で加工精度がバラバラ。だから、「まったく同じ形」というのは存在しないと言ってもいいですね。なので、当然ながらPickguardも「同じモデルだから共通」というのは通らない。取り付けスクリューの位置も違うし、中にはまったくチグハグなことになることも稀ではないです。

 RM 1999 Re-issueは、4001S C64の最終型の、ヘッドの向きがRegular化(というか、本来の正しい向き)になったモデルと言っていいので、4001S C64のPickguardもアウトラインが同様にスリム傾向ですね。そして、最近のRicはNeck Pickupのカットアウトのコーナー形状が角ばりすぎで、全体に隙間も多く、どうも変に見えます。本物VintageはPickupのアウトラインにピタピタの非常にタイトな加工精度なのに。ここ、重要なんで拘って製作し直しますね。
 このRM 1999のボディの場合、DA23の個体との違いは殆ど無かったですが、ホーンの形状だけはまるで違いました。それ以外の全体的なバランスはかなり肉薄してると思います。あとは、ボディのアウトラインはだいたいVintageの個体に共通の近似値なんですが、ただ、ネックとボディとの位置関係が決定的に大分違うんですけどね、DA23とは。というか、DA23がこの部分は特殊と言っていいのか。

 とにかく、これでPickguardを切り出して付け替えれば、かなり"Oldie"な1999になると思います。

0 件のコメント:

コメントを投稿