Groove Tunnel
ちょっとレトロスペクティブでディープな音趣味ワールドの巣窟
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2019/02/18
2019/02/04
Diagram - Rickenbacker Horse Shoe Pickup (Bass)
ウチのBlogはいろいろとウンチク解説は多いですが、図解てのは出してなかったかなあと思い、掲載。
やっぱり言葉だけでは解り難いですもんね。これで大体の構成が理解できるかと。見れば見るほど、Pickupとしては理想的で画期的な構造です。
わたし個人の感想としては、こんなにも素晴らしい物ならもっと早くに出会いたかった、という感慨があります。
「Horse Shoe Magnetが演奏する手の邪魔になる」みたいなことが時々書かれていたりしますが、実際はそうでもないんですけどね。特にFinger pickingの奏者には問題にはならないはず。わたしの場合、Bassの演奏では殆どFlat pickingですが不便はまったく感じないのですけど。あくまで個人の演奏スタイル次第ではないでしょうか。それよりもSoundのずば抜けた良さが上回ると思うのですけれどもね。
でも、うーん……まあ確かに、Chris SquireばりのゴリゴリSoundが欲しい人にはBridge手前辺りのスペースは少ないので弾きづらいかもしれない。でも、Neck Pickup付近でピッキングしてもトーン的には十分トレブリーなんで、"Glass Onion"サウンドなんですけどね。
このHorse Shoe Pickupの構造は唯一無二のものであり、そのSoundは本当に素晴らしいのですが、現在では特徴的な肝心要のMagnetが新品では入手できないので、音質の素晴らしさをもう広めることができないのが大変残念です。Horse Shoe PickupはRickenbacker社Originalの宝であり、社長にも是非とも本物の復活を、とForumを通じて提言させていただいたのですが、氏のお話しでは幾つかの厳しい問題点があり、Reissue製品化は現実的ではないとのことでした(多分、殆ど予算的な問題でしょう)。
何度も言いますが、"Hi-Gain" Pickupとは構造的にも音質的にもまったく別物で、似て非なる物です。比較になりませんので。
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Rickenbacker
2019/02/03
2019/01/30
2019/01/28
Tone Caps in Old Rics
Old Rickenbacker Guitar & BassのBridge Pickupのみに入っている.0047uFの"High-Pass" Capacitorですが、よく見るのは水色の四角いRadial typeの物で、おそらく○○○○○社のMylar typeの物だと思われます。
なので、わたしのRM 1999に搭載しているTone Capと同じAJAXのBlue moldedはオリジナルではないとずっと思っていたのですが、1960年代にオリジナルで使用されていた個体もあったみたいで、今回、確認できました。なので、この仕様のパターンは間違いではなかったんですね。
でも、USED品の入手は非常に困難です。もし、見つかってもリードが短く切られた物が殆どで、継ぎ足さないと使えないんですよねえ。でも、音は最高です!
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2019/01/25
Up Grading Ric RM 1999 Bass
New Pickguard
Pickguardはこのようになりました。
あまり変化がわからない画像ですいません。
でも、わたし的にはほぼ満足の質感とシェイプになりました。
Switch & Controller周りの位置関係もPMCの画像から完コピしましたので、良い感じです。スクリューは、敢えて力の加わらないSlot headタイプに交換して割れ防止としています。
この画像からアクリル材の透け感がわかりますかね? 透過率の殆ど無いWhiteのアクリル素材だと、文字どおり、なんか白々しいというか、偽物っぽいというか、とにかく、「Rickenbackerらしさ」が失われたような外観に感じるんですよね、わたしだけかもしれないですが。Whiteというよりも薄いGreyっぽく見えて、しかも、ボディのルーティングが薄っすらと透けて見えるこの透過率の乳半アクリルこそ、Vintage Rickenbackerの「らしさ」なんだと。
あ、そうそう……ほら、John Lennonの1958 325の現状がWhite Pickguardに交換された状態でミュージアムで展示されたり、雑誌で紹介されたりしてましたが、あのWhiteのPickguardも非Vintage品の透過率が低いもので、なんか、変な印象でしょう? ナチュラルにWhiteのPickguard仕様って、レギュラーModelでちゃんと在りますが、あんな白けた印象はしないでしょ?
他のModelでも……そう、330なんかの二段構造のPickguardのModelがありますが、二枚が重なった部分と、コントローラーの露出している一枚だけの部分でWhiteの濃さがVintageのPickguardだと違って見えると思いますが、あれも乳半素材の透過率が関係してるんですよね。現行品の透過率の低い真っ白の素材だと、二枚重なりの部分も一枚の部分も同じベタッとしたWhiteにしか見えない……なんか、らしくなく、安っぽく見える。
PickupのカットアウトもVintageなピタピタ・ジャスト仕上げ。
これだけのことで見た目のVintage感、スッキリ感はかなりのものです。現行品はこういった職人加工技が効いてないので細部の仕上げが雑なんです。Pickupの外周実サイズより1mmくらい余分に大きめにカットされている個体もあるくらいです。昔はメーカーが、と言うよりも職人さん自身がクラフトマンシップの表現としても拘って加工していた、こういう仕上げの上質さが失われてゆくのは、我々、オーナーからすれば残念ですよね。
*比較画像を追加しました↓
Before |
After |
ちょっと画像の明るさとカラー調整がチグハグで印象が異なるところは申し訳ありませんが、Pickguard自体の形状比較はできるかと。
Afterの方がコントローラー周りがFatめに見えますよね。こっちの方が「正調」と思います。
4001S V63系は更にFatめでボディの外周縁ギリギリまで迫っており、「これはちょっと……」な残念さ。4001S C64系はBeforeの形状のSlimめ、という感じでしょうか。
何れもほんの少しの差ではありますが、見た目の印象が変わります。明らかにPickguardはデザイン上の重要なアイテムです。
About A Mute-Pad
話変わって、Sir. McCaがいつ頃からMuteを使い始めたか、というと、"Rubber Soul"あたりからだと思うんですが、Hofner BassにはMute機能が付いてませんから、Rickenbacker Bassの使用と同時に、ですよね。Mute Soundに関してはおそらく、彼がお手本としていたBass player、James Jamersonの影響が大ではないかと思います。
MotownのStudio bass playerだったJames Jamersonは、愛用のFender Precision BassにMute padを付加して使用していました。"Rubber Soul"の頃、The Beatlesの面々は本場アメリカの黒人による「本物」のR & Bを相当熱心に聴き込み、貪欲に吸収していましたし、実際、後にSir. McCa自身がJames JamersonのBass Soundとそのプレイに当時かなりの影響を受けたと話しています。
で、James JamersonのBass SoundがMute Pad使用によるものであるという情報をPaulがどこから得たかについては不明ですが、以降、殆どのPaulのBass Soundは「Mute Padありき」になります。そもそも彼はFinger pickingのプレイヤーではないので、手の平で自然にMuteはしていたと思いますが、もう、それ以降はMute Padを使っていないプレイの方が少ないくらいで(というか、"Let It Be" セッション以外は無いかも? ——確認したら、"Let It Be"でもスポンジ挟んでました。)、HofnerにもMute pad用のスポンジを挟むようにさえなります("Revolution"のPromo-clipを参照)。
さて、ところが、最近のRickenbackerのBassに付属のMuteはよろしくありません。というのも、いつ頃からかは不明ですが、Mute PadのRubber素材の質が変わってまして、現行品の素材は硬質で薄く、使用感もよろしくなく(調整が難しい)、また、Mute Soundも"DEAD"過ぎて良くないです。この現行品のMuteを使うとSustainが完全に死んでしまい易いのです。
昔の物はもっと柔らかい素材(発泡率が高い?)で、分厚い物でした。従って、フルにMuteを効かせてもSustainは「完全には」死なないんです。ちょっと、これはMuteを常に良く使うプレイヤーでないと解ってもらえない感覚かもしれません。Sustainを「コントロールし易い」と言い換えてもいいかもしれません。
Mute Padの素材は硬質な素材ほど使い辛く(セッティングが困難)、音作りが難しいですし、薄過ぎるとプレイヤビリティに大きく影響します。何故かと言うと、弦高(アクション)はフレットボード上のどこを押さえてプレイするかによって上下変化しますが、薄いMute Padだと、そのような幅広いバリエーションの状況に追随することが出来ず、作用状態が均一にならないからです(或るポジションではMuteされ、また、或るポジションではMuteされない状態になる)。
昔はGibson EB系など、フェルト素材を使ったMute Padも有り、それはまたRubber素材の物とは異なった感覚でした。とにかく、Mute Padの素材の良し悪しで使い心地も異なりますし、Mute Soundにも大きな違いが出ます。案外、奥が深いのです。
また、The Beatlesの中期から後期のBass Soundをシュミレートしたければ、このMute Padはとても重要なアイテムになります。Paulは殆どHorse-shoe PickupのアタッキーでトレブリーなToneにMuteを効かせたSoundを大変好んでいました。多くのフォロワー・プレイヤーたちはこれをNeck Pickupの音だと思い違いをしていますが、Neck Pickupではあのようなアタック音は出ません。トレブルを抑えたSoundの場合、彼はNeck Pickupは使わずにHorse-shoeのToneを絞っているんです。この使い方こそ、彼のRickenbacker Bass Soundの肝と言ってもいいでしょう。これにレコーディング時にコンプレッサーが通されて最終的にあの独特なSoundになるのです。
で、遅きに失したと言ってもいいのですが、ずっと不満だったこのMute Padの素材を交換しました。ホームセンターの素材売り場で良さげなRubber sheet選び、オリジナルのは剝がして捨て、それに張り替えただけです。
下の画像のようにFullにMuteしてもSustainは完全には死なず、正に狙いどおりのMute Soundが得られました!
現行品の素材よりも発泡率の高い5mmくらいの厚みのRubberスポンジ素材で、それを2段重ねに貼り付けて10mmほどの厚みにしたところ、これがベストとなりました。ちなみに、お掃除用のスポンジまで発泡率が高いスカスカな物だとお話になりませんが(とても使えない)、現行品の素材を基準に素材を選定してみてください。廉価(¥200 - ¥300ほど)なUp-gradingなので、是非お試しあれ。
Rickenbacker Vintage Tailpiece Assembly
別件ですが、RickenbackerのBassのBridgeって、機能的には問題が多いパーツです。個人的にはデザインは大好きなんですが……。
Bridge、Tailpiece、Muteの三つが一体化されたコンビネーション・タイプのオリジナル・デザインなんですが、BridgeはIntonationのアジャストのためのSaddle移動がし辛いし(というか、事実上、弦を緩めた状態でないと動かせない)、Tailpieceは弦の張力に負けてTailがリフトしてしまうんですよね。
この"Tail-Lift"は重大で、これをそのまま放置しておくと、Tailpiece Blockの土台自体が最終的には海老反り状態で曲がってしまう! という最悪の結果にまでなります(同症例多数)。
この問題は、流石にRickenbackerも対処の必要が出て、基本的なデザインはそのままにSecuring screw x 3本(Bridge下に隠れている)に2本を追加してTensionを押え込むという力技で対処しています。
しかし、Vintage Re-Issue Modelに付属の専用品は、付加Screw付きのModified version品が美観的にもReplica的にもよろしくないので、対処前の「少ないScrew」状態のデザインのままなんですね(4001S V63は5 Screw)。すると、やはり徐々に弦のテンションに負けて"Tail-Lift"が起こってきます。
わたしの個体でも最近、5mm程持ち上がってきたのを確認したので、そろそろ対処の必要が出てきました。そこで、根本的な問題点には対処を施しつつ、外見の美観的にはそのまま(何も変化なし)というSorutionを施しました。
これについては、また次回に。
しかし、Vintage Re-Issue Modelに付属の専用品は、付加Screw付きのModified version品が美観的にもReplica的にもよろしくないので、対処前の「少ないScrew」状態のデザインのままなんですね(4001S V63は5 Screw)。すると、やはり徐々に弦のテンションに負けて"Tail-Lift"が起こってきます。
わたしの個体でも最近、5mm程持ち上がってきたのを確認したので、そろそろ対処の必要が出てきました。そこで、根本的な問題点には対処を施しつつ、外見の美観的にはそのまま(何も変化なし)というSorutionを施しました。
これについては、また次回に。
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2019/01/16
Paint it like Ric Fireglo
前回、Vintage Rickenbacker(1960年代)の塗装はニトロセルロース・ラッカーではないと申しました。これは、製造元の社長も公言されてることであり、事実です。
なので、「オリジナルどおりにリペア」ならば、オリジナルのタイプの塗料を使用するのは大原則でしょうし、風合いも統一できません。まあ、リペアの基本中の基本でしょう。ただし、オーナーの意向で「異なった種類の塗料で全塗装し直したい」というようなオーナー自身が納得の意向を受けての場合は例外ですが。
では、どのタイプの塗料が使用されているのか?
単刀直入に言うと、「ワニス」です。驚かれる方が多いと思います。ワニスは日本では呼称が転訛して「ニス」と呼ばれている塗料で、「安物家具に使われている塗料」の代名詞みたいになってます。確かに、乾燥が早いので最も扱い易く、即ち、製造者側から見た場合、製造の手間を省け、コストを抑えられるメリットが最も高い塗料なんですね。
現在、楽器用塗料は、油性だとアクリル・ラッカー、アクリル・ウレタン・ラッカー、ニトロセルロース・ラッカー、油性二液性ですと、ポリ・ウレタン、ポリ・エステル、一部のクラッシック楽器にはアルコールで溶かすシェラック、という感じでしょうか。
楽器業界では二液性ポリ系が安物仕上げの代名詞になってますよね——最も厚塗り塗膜ですし、それによって自然な「木の鳴り」をスポイルしているとの悪評価がある(事実は別として)。それでも、「ニス仕上げ」てのはまず無いですよね。でもでも、楽器業界でも異端児的メーカーであるRickenbackerは、ワニス仕上げの代表ギターなんです!
ただ、ワニスと言っても、油性、水性、また、その樹脂の種類によって数種類あります。アクリルやレジン系、ウレタン、アルキド系などです。
元Rickenbacker社で製造に従事していた人たちや社長の証言に依りますと、混合されている樹脂はウレタンだそうです。ただし、その配合は塗料メーカーによって微妙に異なり、一定ではないそうです。二液性ではない一液性なので、ウレタン樹脂でも仕上がり塗膜を薄く仕上げられるわけです。実際に剥離してみると分かるんですが、Rickenbackerの塗膜って、分厚そうに見えて薄いです(Gibsonのラッカーの方がよっぽど厚いですよ、本当に)。
ただし、ワニスの場合、クリアーの透明度を保つことは難しく、どうしても黄ばむ傾向が高いんですよね。なので、白や薄色だと直ぐに黄色く変色してしまう。なので、白や、他には黒も塗膜を厚塗りする必要があるため、それらのカラーに限っては別のタイプの塗料が使われているとのこと。なるほど、それで特別設定のカラーの場合は価格が割高なんですね。
ということで、Rickenbackerオーナーならば、「ラッカー・フィニッシュじゃねえぜ!」と胸を張って自慢しましょう。
上の画像はわたしのRM 1999で、Pickguardの型紙を作り、それを現物に当てて最終チェック中のショットです。
このPickguardのアウトラインとコントローラーの位置関係は御大、PMCさん所有の個体(DA23)の画像から忠実にトレースした後、わたしのRM 1999にジャストになるように僅かに微調整を加えました。元々付属していたRe-issueオリジナルPickguardのアウトラインと比較すると、コントローラー部分の周囲の丸みが大分太め(大きめ)になる感じです。コントローラーとスイッチの位置関係はパッと見には違いが中々わからないのですが、型紙を重ね合わすと、わーお、ぜんぜん違う!(笑)これもDA23のPickguardと同じ位置関係に修正。ふむ、それだけでも本物のVintageっぽくなるから不思議です。
そもそも、Rickenbackerのモデルは同じモデルでも形状のアウトラインそのものが年式等で微妙に違うんですよね。それに、職人さん一人一人で加工精度がバラバラ。だから、「まったく同じ形」というのは存在しないと言ってもいいですね。なので、当然ながらPickguardも「同じモデルだから共通」というのは通らない。取り付けスクリューの位置も違うし、中にはまったくチグハグなことになることも稀ではないです。
RM 1999 Re-issueは、4001S C64の最終型の、ヘッドの向きがRegular化(というか、本来の正しい向き)になったモデルと言っていいので、4001S C64のPickguardもアウトラインが同様にスリム傾向ですね。そして、最近のRicはNeck Pickupのカットアウトのコーナー形状が角ばりすぎで、全体に隙間も多く、どうも変に見えます。本物VintageはPickupのアウトラインにピタピタの非常にタイトな加工精度なのに。ここ、重要なんで拘って製作し直しますね。
このRM 1999のボディの場合、DA23の個体との違いは殆ど無かったですが、ホーンの形状だけはまるで違いました。それ以外の全体的なバランスはかなり肉薄してると思います。あとは、ボディのアウトラインはだいたいVintageの個体に共通の近似値なんですが、ただ、ネックとボディとの位置関係が決定的に大分違うんですけどね、DA23とは。というか、DA23がこの部分は特殊と言っていいのか。
とにかく、これでPickguardを切り出して付け替えれば、かなり"Oldie"な1999になると思います。
なので、「オリジナルどおりにリペア」ならば、オリジナルのタイプの塗料を使用するのは大原則でしょうし、風合いも統一できません。まあ、リペアの基本中の基本でしょう。ただし、オーナーの意向で「異なった種類の塗料で全塗装し直したい」というようなオーナー自身が納得の意向を受けての場合は例外ですが。
では、どのタイプの塗料が使用されているのか?
単刀直入に言うと、「ワニス」です。驚かれる方が多いと思います。ワニスは日本では呼称が転訛して「ニス」と呼ばれている塗料で、「安物家具に使われている塗料」の代名詞みたいになってます。確かに、乾燥が早いので最も扱い易く、即ち、製造者側から見た場合、製造の手間を省け、コストを抑えられるメリットが最も高い塗料なんですね。
現在、楽器用塗料は、油性だとアクリル・ラッカー、アクリル・ウレタン・ラッカー、ニトロセルロース・ラッカー、油性二液性ですと、ポリ・ウレタン、ポリ・エステル、一部のクラッシック楽器にはアルコールで溶かすシェラック、という感じでしょうか。
楽器業界では二液性ポリ系が安物仕上げの代名詞になってますよね——最も厚塗り塗膜ですし、それによって自然な「木の鳴り」をスポイルしているとの悪評価がある(事実は別として)。それでも、「ニス仕上げ」てのはまず無いですよね。でもでも、楽器業界でも異端児的メーカーであるRickenbackerは、ワニス仕上げの代表ギターなんです!
ただ、ワニスと言っても、油性、水性、また、その樹脂の種類によって数種類あります。アクリルやレジン系、ウレタン、アルキド系などです。
元Rickenbacker社で製造に従事していた人たちや社長の証言に依りますと、混合されている樹脂はウレタンだそうです。ただし、その配合は塗料メーカーによって微妙に異なり、一定ではないそうです。二液性ではない一液性なので、ウレタン樹脂でも仕上がり塗膜を薄く仕上げられるわけです。実際に剥離してみると分かるんですが、Rickenbackerの塗膜って、分厚そうに見えて薄いです(Gibsonのラッカーの方がよっぽど厚いですよ、本当に)。
ただし、ワニスの場合、クリアーの透明度を保つことは難しく、どうしても黄ばむ傾向が高いんですよね。なので、白や薄色だと直ぐに黄色く変色してしまう。なので、白や、他には黒も塗膜を厚塗りする必要があるため、それらのカラーに限っては別のタイプの塗料が使われているとのこと。なるほど、それで特別設定のカラーの場合は価格が割高なんですね。
ということで、Rickenbackerオーナーならば、「ラッカー・フィニッシュじゃねえぜ!」と胸を張って自慢しましょう。
Making A New Pickguard
話変わります。上の画像はわたしのRM 1999で、Pickguardの型紙を作り、それを現物に当てて最終チェック中のショットです。
このPickguardのアウトラインとコントローラーの位置関係は御大、PMCさん所有の個体(DA23)の画像から忠実にトレースした後、わたしのRM 1999にジャストになるように僅かに微調整を加えました。元々付属していたRe-issueオリジナルPickguardのアウトラインと比較すると、コントローラー部分の周囲の丸みが大分太め(大きめ)になる感じです。コントローラーとスイッチの位置関係はパッと見には違いが中々わからないのですが、型紙を重ね合わすと、わーお、ぜんぜん違う!(笑)これもDA23のPickguardと同じ位置関係に修正。ふむ、それだけでも本物のVintageっぽくなるから不思議です。
そもそも、Rickenbackerのモデルは同じモデルでも形状のアウトラインそのものが年式等で微妙に違うんですよね。それに、職人さん一人一人で加工精度がバラバラ。だから、「まったく同じ形」というのは存在しないと言ってもいいですね。なので、当然ながらPickguardも「同じモデルだから共通」というのは通らない。取り付けスクリューの位置も違うし、中にはまったくチグハグなことになることも稀ではないです。
RM 1999 Re-issueは、4001S C64の最終型の、ヘッドの向きがRegular化(というか、本来の正しい向き)になったモデルと言っていいので、4001S C64のPickguardもアウトラインが同様にスリム傾向ですね。そして、最近のRicはNeck Pickupのカットアウトのコーナー形状が角ばりすぎで、全体に隙間も多く、どうも変に見えます。本物VintageはPickupのアウトラインにピタピタの非常にタイトな加工精度なのに。ここ、重要なんで拘って製作し直しますね。
このRM 1999のボディの場合、DA23の個体との違いは殆ど無かったですが、ホーンの形状だけはまるで違いました。それ以外の全体的なバランスはかなり肉薄してると思います。あとは、ボディのアウトラインはだいたいVintageの個体に共通の近似値なんですが、ただ、ネックとボディとの位置関係が決定的に大分違うんですけどね、DA23とは。というか、DA23がこの部分は特殊と言っていいのか。
とにかく、これでPickguardを切り出して付け替えれば、かなり"Oldie"な1999になると思います。
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Rickenbacker
2019/01/12
What Professional?
このRM 1999はわたしの私物で、記事とは無関係です |
久しぶりにRickenbackerのGuitar/Bassに関していろいろと検索して見たりしたことの一つなんですが、或る日本のビートルズ関連楽器リペアのスペシャリスト(実店舗経営)さんのBlogを拝見してましたら、VintageのRM 1999の塗装を伴う大掛かりなリペアを紹介した記事がありました。
「オリジナルどおり、ニトロセルローズのラッカーフィニッシュです」
と、自慢気にオリジナルに近い色みに美しくスプレー・フィニッシュされたボディを紹介しておられるのですが、「1960年代のRickenbackerのフィニッシュはニトロじゃないですけども……」とツッコミを入れたくなりました。このリペアマン氏は、何を根拠にニトロ・ラッカーがオリジナルと判断されたんでしょうかね?
専門家の端くれならば、1960年代のVintage Rickenbackerのフィニッシュが同年代のFenderやGibsonのそれ(ニトロ)ではないことくらい判断できると思うんですね。何故なら、あの独特な経年変化のチェッキング、クラッキングがRickenbackerの塗膜には表れません。それはつまり、別種の塗料が使用されていることを証明してるんです。
しかし、Rickenbackerでもそれ以前はニトロ仕上げだったようで、それは1959年の3月までだったそうです。以降、使用塗料は全面的に変更されました。ということは、The Beatlesのメンバーが使用したモデルでいうと、John Lennonの最初の325だけは本来はニトロセルローズ仕上げだったのですね。他のモデルはすべて「非ニトロ」仕上げです。
高額なリペア代金を支払って、こういった自称スペシャリストに大切な自分の愛機を預けて、リペアなり改造なりされた方は結構多いと思うんですね。そういった改造自体はオーナーの勝手ですし、まったく否定するものではありませんが、その作業を施行実施する「専門家」というのなら、また、顧客に対して相応の対価を求めるのなら、やはり、最低限の正しい知識と腕で勝負して欲しいなあ、と思うんです。まあ、そのおつもりのようでしたが。
やっぱり、数年経って、ウェザーチェッキングが表れたRickenbackerのボディって……風合いがまったく違うでしょ、そりゃあ……Les PaulのBurst Finishじゃないんだしなあ。
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Rickenbacker
2019/01/11
2019 Information
A Happy New Year!
遅いですが、あけましておめでとうございます。さて、現行RickenbackerのPickguardが昔の半透明の白色(日本では「乳半」と呼ばれるタイプ)から不透明の白色に変わってしまったのは、「Rickenbackerらしいアピアランス」の一つがまた一つ失われてしまった感じがするのは決してわたしだけではないと思うのですが、わたしのRM 1999の場合も新品入手時に同様の状態で、不透明の白色Pickguardは見れば見るほどにあまりにもVintageらしくなく味気がなかったのと、Finger Rest取り付け穴が空いていたので、即刻交換したのでした。
その際は、本来なら納得いく物を自分で加工したかったのですが、"Vintage Original"と質感(色感? 透け感?)が同じアクリル素材板材料が日本では一般的に販売されておらず、当時、調達できなかったので、仕方なくアメリカのスペシャリストにわたしが採寸・製図した型紙を送り、不器用なアメリカ人の手に委ねてワンオフで製作してもらったものを送ってもらいました。
それが現状で付属のPickguardなんですが、どうも最近、この形状が微妙に気に入らなくなってきました。受け取り後も微妙なアウトライン修正の研磨加工を数回してるんですが、逆に、欲しい形状的に言うと、材料が足りない箇所が出てきたんですね。アクリル板材の透け感はVintageと同じ透過率の素材なんで良いんですけども。
そこで、やはり自分で細部まで納得ゆく形状に加工したいと思い、Vintageと同じアクリル板材を探したのですが、ホームセンターなどで販売の、日本で一般的に流通している「乳半」アクリル素材だと「薄過ぎ」るんですね——つまり、透過率が高い。なので、これで加工してしまうと、キャビティ内とかが透け透けのスケルトンになっちまいます。
しかし、なんとか材料を調達しました。未だその板材は届いてませんが、カットして製作できましたら、また新しい画像をUP予定です。
もう一つ、Truss Rod Cover(Name Plate)なんですが、これもまた"Vintage Reissue"パーツと"Vintage Original"では書体、文字の太さ、など、よくよく細部を比較して見たらば「雰囲気全然違う!」箇所が見つかると思います。しかし、オーナーの気持ちとしては、これはもう、我が家の表札みたいなものなので、Vintageの風合いに拘らざるを得ない。
この「違い」の原因は、根本的に"Vintage Reissue"パーツと"Vintage Original"では印刷の元原稿である版下原稿に使用されているロゴ書体そのものが違うから——つまり、これは「COPY(複製)」でもなく、そもそも「似せた別物」だから、です。
ちなみに、このT.R.C.、現在では代理店で単品供給不可能の修理品現物交換供給のパーツなんだそうですが、ちょっと前まで(2000年頃まで)はRickenbackerからふつうに(正規に)単品パーツ供給されてました。実際、わたしは個人でアメリカの楽器店に数個まとめてオーダーし、当時正規品の"Vintage Reissue"パーツとして「正規に」受け取ってます。「お一人様、一個限り」も「現品交換」も、一切そういった縛りはまったくなかったですよ。確か……あ、そうそう! Rickenbackerのロゴの入ったG-String shorts(女性用、これもRickenbacker正規品(笑))なんかも販売し始めてた頃のことです。
あくまでわたしの好みですが、T.R.C.のロゴ書体は1960年代初期から中期頃の版("MADE IN U.S.A."が平行に印刷されているタイプ)のロゴがぶっとくて一番カッコイイ(上の画像の物)。なので、わたしのRM 1999には、状態の良い昔のオリジナル品を見つけて付け替えてるわけです。
輪郭のカット形状については、昔からかなりのファジーなハンドメイドぶりで、殆どもう、モデル毎に、また、製造時期によって、一個一個違います。なので、取り付けスクリュー穴の位置も合わないものは合わないですね。そこは潔く諦めましょう。でも、もし、ぴったり合致したら、それは運命です(笑)。
すいません、長くなってしまいましたが、わたしの場合、上述のような経緯で知り合ったアメリカのスペシャリストにお願いして、良質のUSEDの中古品が見つかったときに新品同様にリコンディションしたものを譲ってもらっています。
同じ仕入れルートで、1960年代中期頃のWhiteバックのレギュラー物が一つと、John Lennonの1958 325の物に酷似のGoldタイプ("MADE IN U.S.A."表記無し)の一つ(年代不明。1960年頃?)が近日入荷予定です。Goldの方のお値段は少々お高いですが、形状、ロゴの印刷位置、トップのネジ位置、ほぼすべてがJLのギターに付属の個体と酷似ですので、お問い合わせください。
*今回入荷予定分のName Plateはすべて"HOLD"となりました。ありがとうございました。
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Rickenbacker
2018/04/23
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