実は、このAD-5は、量産ヴァージョンで、最初に限定生産されたのとは回路に違いがあります。
音質は、Toneの帯域が全体に高域に寄り過ぎで、Lowが全く出ず、また、Volumeを上げても、ぜんぜんPower tubeがDriveせず、気持ちよい歪み感がまったくない。せっかくの低出力Tube Ampの魅力が出せてないAmpでした。
総合的に、作りはしっかりした良質のAmpではあるのですが、肝心のSoundが……。
そこでわたしは、Single ampの回路は単純なんで、いっその事、回路を組み直して、自分好みに改造してみてはどうかと考えました。
PCBをChassisからバラし、いろいろと方策を練り……、
同じ1 x ECC83、1 x EL84のままのSingle 5W仕様で、Preの二段目にMaster Volumeを付け、Tone回路の定数やらを変えて、1 x Toneながら、より実用的な帯域に絞り込むTuningを施すことにしました(Lowがもっと欲しい。痛いHighを削る)。
また、もう一つ、V.R.M. (Voltage Regulator Module)を独自に組み込み、Power Tubeに供給する電圧だけを個別に可変させることで、Low volumeでもPower tubeを自在にドライブさせられる回路を付加することにしました。
通常、こういうこと(Volumeが低くてもTube drive soundを得る)に使われる定番手法がAttenator式ですが、これは本質的に音質が変わってしまうし、そもそも、物理的にも、コスト的にも、音質的にも、不効率極まりない方法なんですね。みなさん、自宅用にはこれだと思いますが。
ところが、V.R.M.式だと、Attenator式の欠点がすべてゼロ。そして、コンパクトで安価。こりゃやらなきゃ損、てことで、テスト的に採用してみることにしました。
Originalの回路を設計し、海外にPartsをオーダーしたものが到着。
Prototypeの基盤を組みました。
スペースの問題もあり、この一枚にPre部、Power部、電源部(V.R.M.含む)がほぼすべて収まるように設計しました。Register等一部、使いまわせるものはAD-5のPCBからサルベージして使いまわしました。
リデザインした新たな回路は、VOX AC4の回路に似てますが、ちょと違う、シンプルな回路です。
Celestion G10 Goldを搭載したいので、当然、干渉しないSlim sizeのChassisもOriginalで一から製作。
2mm厚のアルミ板でChassisを組み上げ、TransformerのBell coverも一緒にORANGEのBranding風味のWhiteにペイント仕上げ。
OriginalはSteel製Chassisだったのでかなり重量があったのですが、遥かに軽量、且つ頑丈なChassisにすることができました。
High/Low Inputs仕様に改変し、Controllerは、V.R.M.、Gain、Tone、Masterの4つにUp-graded。
Space的に、取り敢えずはこれが限界かな、と。
まあ、Potをもう一個増設して、ToneをHigh & Lowの二段式にまではギリギリすることは出来るかも、でした。
無論、回路は"Point-to-point"直行配線。これで「唆られる」内部のルックスに変貌。
PotはAlpha。電源部のCapacitorは、お気に入りのF & T Gearmanyを選択。
他のPartsは、Prototypeなんで、Testして、取り替えるつもりアリの、取り敢えずの選択です。
電源部もBridge diodeではなく、古風なRectifier Tube (EZ81)を増設し、音質はTube、整流はDiodeのHybrid式に改変したので、Tubeは計3本。
Tubeは、品質優先で、すべてJ.J. Tubeを選択。
そして、Testの初火入れ式の図。
Wow! 以前とはまったく別物!(実際、Transformar以外はまったく別物ではあります)いやあ、しかし、予想外の自画自賛の素晴らしい音です!!
Tone回路のCapの定数を変えて、High寄り、Low寄り、と、繰り返しCapの定数を変えて視聴Testしましたが、結局、最初の選択がBestに。
これで、Amp部は完成したので……
G10 Goldを入手!(回路がダメだったら勿体ないので、購入は最後の最後にしてました)
テンションUp!
やっぱし、見た目がぜんぜん違う!
ConeもDamperも、Edgeのボンドも違いました。
いざ、交換。
CabinetにInstall。
10"なのに迫力満点のGold frame Celestion!
設計通り、Chassisにも干渉なしにピッタリ収まりました。
思ったとおり、ルックスも最高にGood!
やっぱり、SpeakerはAlNiCoに限る。音の厚みが違う。色気、艶がある。
また、V.R.M.の効果は絶大で、Clean toneからSuper crunchまで、Volumeのセッティングに関係なく、自在にPower tubeのDrive量をコントロールすることが可能。自然なPower tubeによるOver drive soundです! 正に、これはTube Guitar Ampのための万能Moduleではないかと(VOX AC30への組み込みも検討中)。
こうして、CustomizedされたわたしのAD-5は、素晴らしく使いでのある、良い音のするAmpに生まれ変わりました。
このAD-5 Customの実力は、値段だけ高いM社の製品と違って相当高く、はっきり言って、PracticeからLive Houseまで、このAD-5一台で十分賄えるSoundとPowerです。
まあ、この投稿だけでは到底信じてはもらえないでしょうが、実際に視聴されたら、絶対驚きますよ。お気に召すこと請け合いです。製品化しちゃいたいくらいなんですから。
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