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2014/01/13

Refurbishing Tips - Original Fender F Tuner

Before refurbishing

 入手困難な初期のFender Original "F" Tunerですが、今回、スペア用として新たに1 set入手出来たので、整備の仕方を解説したいと思います。

 現物は、もう40年以上も前の物ですので、現存する物は、外観だけでなく、当時の機能も大なり小なり既に失われているでしょう。その最も大きな問題なのが、内部に封入されているGreaseの劣化です。それによって、使用感、機能共、本来の状態ではなくなってしまっている個体が殆どの筈です。しかし、このタイプのF Tunerは分解整備が可能なので、分解清掃して、新しいGreaseを詰め直せば機能回復可能なものが多いです。言い換えれば、定期的にGreaseの詰め替えMeintenanceさえすれば、このF Tunerは大変優れた設計のTunerと言えると思います。

 では、その手順を紹介しますね。
Dismantling

 最初の画像のように、Outer caseの反対側にはInner caseが在ることが解りますが、このInner caseはString postのbebel GearとKnob側のWarm gear shaftとのGear噛合部の押さえとしてのPre-assembleの役割と、Grease封入のSealingの役目を果たしているものです。このInner caseはOuter caseの内側に填め込まれているだけなので、小さめのドライバーなどを使用して、梃子の要領でInner caseの外周を注意深くじれば比較的簡単に取り外せます(強い力で抉じらないように注意)。
で、外した状態が上の画像です。
 Green colourのGreaseが塗られているのが解りますが、F Tunerの初期タイプには必ずと言っていい程、このGreen ColourのGreaseが使用されており、これは決して良質のものではありません。実際、Greaseはもう既にかなり劣化していて、Gearの滑走剤としての役目は果たしておらず、ガム化して躍動の抵抗となっており、寧ろ機能を大いに阻害しています。

All tuner parts

 Inner caseからTuning postとKnob shaftもバラした状態です。
 F Tunerの初期タイプだけの特徴として、Tuning postには真鍮製の別体Bebel gearがはめ込まれており、外れないようにPunchingされているのですが、そのPunchingが甘く、PostからBebel gearが抜け落ちる個体も多々ありますので、その場合は、清掃後の組み立て時に改めてPunchingします。でないと、組み立て後にTuning postだけがCaseから抜け落ちてしまいます。ちなみに、このBebel gearは、次期タイプではKnob側と同様にTuning Postから削りだし一体成型タイプになり、別体の真鍮製ではなくなります。
 Knob側のWarm gearはKnobと一体なので、これ以上は分解出来ません。

 以前に紹介済みですが、Fender Originalの初期F Tunerの特徴は、Outer caseとKnob shaftがChrome plated、Tuning postとInner caseがNickel platedという組み合わせで、Bebel gearは前述の通り真鍮製です。

Cleaning - All tuner parts dip it into Kerosene (or White Gasoline)

 バラした全てを灯油にドボ漬けします。
 この状態で一晩置いておくだけで劣化Greaseを含めて汚れやゴミの類いは浮き出し、一掃できますので、後は灯油から上げて拭き取ればいいだけです。急ぐ場合は、灯油に浸しつつBlushingすれば短時間で清掃出来ますし、灯油の代わりに市販の滑走オイル・スプレーを使用しても構いません。

Preassembled (before greasing)

 清掃後に元通りに組み立てれば、はい、この通りの新品に近い状態に復帰します。
 最後に、Inner caseにTuning postとKnobを仮組み装填して、新しいGreaseをInner case内のGear噛合部に適量塗布し馴染ませ、それら諸共をOuter case内に収めます。Inner caseはGear噛合の押さえにもなっていますので、不要な遊び、ガタが出ないようにしっかりとOuter case内部に填め込みます。そして、動きに異常がないかCheckすれば、終了です。
 使用するGreaseは、安物は使用しない方が良いです。これについては、以前の古いTopicで紹介済みですので、ウチのBlog内を探して見てください。
 以上の整備で、スムースな使用感と機能、アクションが蘇ります。

 もし、機能的に不具合がある場合は、Gearの噛合部に変摩耗や欠けがないか、よくCheckしてください。Tuning postかKnob shaftの何れかが過去にぶつけられるなどして曲がりが認められる個体の場合、Gear部にも損傷が出ていることがあります。